【2019さいたまクリテリウム】メインレース詳報、新城幸也が大会初、日本人初優勝

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日本で唯一「ツール・ド・フランス」の名を冠するロードレース、今年で7回目の開催となる「2019 ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」が2019年10月27日、さいたま新都心駅周辺の特設コースで開催された。現地より詳報する。

スタート前、「ありえない競演」が実現

スタート合図のフラッグを上げるのは、アンバサダーとして来日したマルセル・キッテル氏と清水さいたま市長©Yuzuru SUNADA
ある意味、公式レースではないからこそ実現したマイヨジョーヌとマイヨロホの競演

スタートラインに有力選手が先頭に並んだが、ここで興味深い「演出」がなされた。ツール・ド・フランスの名を冠するだけに、マイヨジョーヌのエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)をはじめとする各賞ジャージが並ぶのは当然だが、ブエルタ・エスパーニャ総合優勝のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)がその優勝者ジャージであるマイヨロホを着てスタートラインに立ったのだ。通常のレースならありえない措置だが、実はツール・ド・フランスとブエルタ・エスパーニャの運営組織は同じA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)。このレースはレースカレンダーには乗らない公式レースではないことや、ツール・ド・フランスポイント賞ジャージのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ=ハンスグローエ)が参加していないことなども、考慮に入れられたのかもしれない。いずれにせよ、このように豪華なスタートラインは、日本ならでは、さいたまクリテリウムならではと言えるだろう。

マイヨジョーヌ、マイヨロホを中央に、スタートする一団©Yuzuru SUNADA

序盤、トレンティンがスプリント賞を荒稼ぎ

コースは、周回コースを17周する全長59.5km。序盤は安原大貴(マトリックスパワータグ)、橋本英也(ブリヂストンサイクリング)、畑中勇介と内間康平(チーム右京)、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)の日本勢にヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナプロチーム)、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)、オリバー・ナーセン(ベルギー、AG2Rラモンディアル)が逃げ集団を構成。トレンティンが2周目、6周目、10周目、14周目に設定されているポイントを取りに積極的に先頭を走り、他の周回では他の選手と先頭交代を行い、逃げを維持した。

動いたのは9周目、そして新城がアタック!

ユンボ・ヴィズマ、ミッチェルトン・スコットが牽くメイン集団は9周目からペースアップ。逃げ集団との差を8秒まで縮めるが、逃げ集団の畑中らが積極的に牽き、また差を広げていく。この状態が13周目まで続くが、その後メイン集団から、優勝を狙うと公言していた新城幸也(バーレーン・メリダ)が動く。メイン集団からブリッジをかけ逃げに一気に追いつき、この動きにヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームイネオス)らも同調、先頭争いは激しくなっていく。13-14周目にかけては、新城自らが先頭で逃げ集団を引っ張っていった。

13周目に逃げ集団へブリッジしようとペースを上げる新城幸也 ©Yuzuru SUNADA

レースを動かし続けた新城、ついに

15周目、その後ろではエースのリリアン・カルメジャーヌ(フランス)を勝たせるべくなのか、それとも元チームメイトの新城を勝たせるべくなのか、トタル・ディレクトエネルジーがメイン集団先頭へ動きコントロールを始める(新城は同チームの前身時代に長年在籍していた)。その意図を察知したのか、ほぼ同時にエガン・ベルナル、ログリッチェが飛び出して逃げ集団へブリッジをかけようとする。

16周目半ば、アリーナを出たところで、逃げ集団からフグルサングと新城が2人で抜け出す。新城は勝利のためフグルサングにツキイチで足を貯めていく。17周目直前のアンダーパス直前でエガン・ベルナル、ログリッチェがアタックしどんどん差を詰めるが、追いつかれる前にとさらに新城がアタック、ロングスパートで逃げ切りを図る。

後ろを振り返り、確信して勝利のポーズをとる新城幸也©Yuzuru SUNADA

約4秒差を保ったまま最終周17周目に入り、新城は追ってくる2人を振り切り、自信をもってフィニッシュラインを越えた。さいたまクリテリウム開催7年目にして、ついに日本人初優勝。昨年もほぼ同じ展開で惜しくも3位に終わった新城にとっても、待望の優勝となった。なお今シーズン、新城は公式戦では未勝利に終わっており、カレンダーにないレースとはいえ、今シーズン最後に初勝利を挙げることとなった。

新城幸也、ベルナル、ログリッチェを従えての初戴冠 ©Yuzuru SUNADA

レース前に優勝を狙うと公言していた新城は、「アタックが早すぎたので後悔した」と振り返ったものの「安堵感とうれしさと一緒に、支えてくださった多くの人たちの顔がたくさん頭に浮かんだ」と、日本のファンの前でようやく出せた目に見える結果に、ホッとした様子だった。

2019 ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム 結果
優勝:新城幸也(ツール・ド・フランスジャパンライダー/バーレーン・メリダ)
2位:エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)
3位:プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)
ポイント賞:マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
山岳賞:ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)
敢闘賞:ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナプロチーム)
新人賞:エガン・ベルナル
チーム賞:ミッチェルトン・スコット
日本人チーム賞:チーム右京

会場のさいたまスーパーアリーナには、有力選手のサイン入りマイヨジョーヌが展示されていた

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