日本代表争い「最後の1枠」を争う事実上の最終決戦、いよいよ本日10月12日17時より生中継
本日2020年10月12日、スペイン・パスク地方で開催されるUCIレースに、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスに所属する中根英登選手、石上優大選手が出場することが正式発表された。先に出場を表明している宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手とあわせ、このレースで現在オリンピック代表枠を争う2位から4位までの選手が揃い踏みすることになった。レースの模様は本日夕方17時からYouTubeで生放送される。
10月12日開催のUCI1.1レース「プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア」
NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスが出場すると表明したのは、スペインバスク地方で長年開催されている地元では有名なクラシックレース「プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア(UCI1.1)」。出場メンバー7人を正式発表し、大方の予想通り中根英登選手、石上優大選手が入った。現在中根選手は、代表枠を争うポイントランキングで2つの代表枠内に入る2位につけている。このレースには同ランキング3位の増田成幸選手(宇都宮ブリッツェン)も既報通りチームとともに出場予定で、10月17日の選考期限を直後に控える中、事実上の「代表決定戦」となることが明らかになった。なお同ランキング4位につける石上優大選手も、ポイント数で水を開けられているものの7位以上に入れば逆転の可能性が残されており、レース展開によっては三つ巴の争いになることも予想される。
代表枠争い、現況は? 焦点は2位争い
JCF代表選考ランキング(9月23日現在)
ランキング | 選手名 | 選考ポイント |
1 | 新城幸也 | 533 |
2 | 中根英登 | 282 |
3 | 増田成幸 | 274.8 |
4 | 石上優大 | 161.5 |
来年開催される予定の東京五輪サイクルロードレース種目の代表枠は「2」となっており、統括団体のJCF(日本自転車競技連盟)は、上位組織の世界統括団体UCI(国際自転車競技連合)が認定するUCIレースでのポイントに、レースカテゴリや成績を考慮して異なる係数をかけて増算する選考ポイントを選考基準にするとしている。現時点でのランキングは表の通りだが、このうち現在トップで、ジロ・デ・イタリアに出場するなど第一人者の新城幸也選手(バーレーン・マクラーレン)は2位以下を大きく引き離しており、事実上1枠は決まっていると言えるだろう。
すると焦点は2位が誰になるかということ。中根選手は282ポイント、増田選手は274.8ポイントとなっており、その差はわずか7.2ポイントとなっている(小数点以下については実はJCFと選手側に見解の相違が生じており、その場合は8ポイントとなる)。
ランク | 係数 | 対象ポイント |
A | 10 | UCIワールドツアーの Paris-Nice、Tirreno-Adriatico、Volta Ciclista a Catalunya、Itzulia Basque Country 、Tour de Romandie 、Giro d’Italia、Amgen Tour of California、Critérium du Dauphiné、Tour de Suisse、Tour de France、La Vuelta ciclista a España での個人総合成績及び山岳ステージ(1 級以上の山岳ポイントが 2 つ以上あるステージ)での獲得ポイント及びLiège-Bastogne-Liège、Clasica Ciclista San Sebastian、Il Lombardia での獲得ポイント |
B | 6 | A ランク以外の UCI ワールドツアー及び世界選手権ロードでの獲得ポイント |
C | 4 | UCI 欧州ツアーHC および1クラス 10 位以内または個人総合 10 位以内、ステージ 3 位以内入賞での獲得ポイント |
D | 3 | C 以外の UCI 欧州ツアーHC 及び 1 クラスでの獲得ポイント |
E | 2 | UCI 欧州ツアー2 クラスでの獲得ポイント・ツアー・オブ・ジャパン個人総合成績での獲得のポイント |
F | 1 | 全日本選手権およびアジア選手権を除く A,B,C,D,E 以外の UCI ロードレースでの獲得ポイント |
G | 0.5 | 全日本選手権ロードレースでの獲得ポイント |
H | 0.2 | アジア選手権ロードレースでの獲得ポイント |
出典:日本自転車競技連盟 第32回オリンピック競技大会(2020/東京)延期に伴う自転車競技ロード種目代表選考基準の見直しについて
JCFの選考ポイントは具体的には以上の基準が示されており、それによると本日開催される「プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア(UCI1.1)」は「UCI欧州ツアー1.1」のカテゴリなので、11位以下なら獲得したUCIポイントを3倍、10位以上なら4倍することになる。
プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア(UCI1.1)で獲得できるUCIポイント/選考ポイント
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13-15 | 16-25 |
UCIポイント | 125 | 85 | 70 | 60 | 50 | 40 | 35 | 30 | 25 | 20 | 15 | 10 | 5 | 3 |
JCF独自ポイント | 500 | 340 | 280 | 240 | 200 | 160 | 140 | 120 | 100 | 80 | 45 | 30 | 15 | 9 |
これを踏まえれば、もし増田選手がこのレースで25位以内に入り、中根選手がポイントを獲得できなければ順位が逆転。逆に、中根選手が16位までに入った場合は増田選手は12位以上、同様に中根選手が13ー15位だった場合は11位以上が必要となる。
また、4位の石上選手と中根選手の差は120.5ポイント。理論上は石上選手が7位以上に入り、中根選手が無得点だった場合は大逆転で石上選手が出場枠獲得となるが、これは夢物語ではない。実は石上選手は今回出場枠を争う増田選手とともに昨年、このレースに日本代表チームの一員として出場しており、7位に入る快挙を見せているからだ。
なお、増田選手はこのレースでトップから16分弱遅れた68位に沈んでいるが、直前に日本で行われた五輪のテストイベントに出場したあとの強行日程で、さらにレース中落車に巻き込まれた影響でメカトラブルに見舞われた結果となっており、決して石上選手に対してこのコースの適性において劣っているというわけではない。一度真剣勝負で、サポートを得ながら走りきった(他の選手はリタイヤ)経験は必ず有利に働くはずだ。
大会はYouTubeで生放送予定
「プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア(UCI1.1)」のスタートは、現地時間2020年10月12日10時。日本時間では17時となりもう間もなくだ。YouTubeで無料配信されるので、オリンピック出場をかけた大一番をぜひ見届けていただきたい。