2021年のサイクルロードレース最高峰カテゴリ「UCIワールドツアー」の本場欧州でのレースが開幕した。初日開催されたのは、ワンデーレースの中でも特に伝統を誇る名物レース「ストラーデビアンケ」。コロナ禍で引き続きレースが中止および延期となるなか、ツール覇者、世界選手権王者などが集まる豪華な開幕戦に勝利したのは、昨年、下のカテゴリで勝ちまくり名声を高めたマチュー・ファンデルプール(オランダ/アルペシン・フェニックス)だった。
ツール覇者、世界選手権王者が出揃う豪華かつ過酷な開幕戦
先月から中東でシーズンが開幕していたが、3月6日、いよいよ最高峰カテゴリ「UCIワールドツアー」がヨーロッパで始まった。この日開催されたのは、イタリアトスカーナ地方、シエナで長年開催されているワンデーレース「ストラーデビアンケ」。レース名「白い道」の名称通り、未舗装路を含むアップダウンが常に続く184km(男子エリート)のコースは、他のワンデーレースと比べても非常に過酷なプロファイルだ。
レースには世界選手権王者のジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)、昨年のツール覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)、その前年のツール覇者エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ)などが出走。例年では考えられないような豪華なメンバーは、引き続くコロナ禍でレース数がいまも少ない現状が生み出した嬉しい徒花といえるだろう。
ほとんど休息できるような場所がないコースは、基本的には常にサバイバル。悪路にやられ相次ぐパンクや落車、メカトラブルによって先頭集団の数が徐々に減っていく。大きく動いたのは残り54km時点のセクター7、モンテ・サンテ・マリエ。昨年度優勝者のワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ)とアラフィリップが仕掛け、先頭集団は錚々たる顔ぶれの以下8名に絞り込まれた。このレースの昨年度王者、世界選手権王者、2名のツール覇者、そして昨年度下のカテゴリのチームのためあまりメジャーレースに出てこなかったが、世界最強の呼び声も高いファンデルプールもしっかりと残った。
ジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)[2020年世界選手権王者]
タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)[2020年ツール・ド・フランス王者]
エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ)[2019年ツール・ド・フランス王者]
ワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ)[2020年ストラーデビアンケ王者]
マチュー・ファンデルプール(オランダ/アルペシン・フェニックス)
トム・ピドコック(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)
クイン・シモンズ(アメリカ/トレック・セガフレード)
ミヒャエル・ゴグル(オーストリア/クベカ・アソス)
抜け出したのはこの3人
その後、お互い牽制を入れながら最終盤まで集団走行を続けていたが、170㎞付近でファンデルプールがアタック。反応したのはアラフィリップ、少し後から追いついたベルナルの2人。遅れた後続からは20秒以上の差がつき、この3人で勝利を争うこととなった。
最後の上りで圧倒的な力を見せつけたファンデルプール!
スタートしたシエナの市街地に戻ってきて、最後の勝負どころと目されていた、ゴール直前の最後の上り。ここでファンデルプールが満を待して圧倒的な加速をみせ、アラフィリップ、ベルナルをあっという間に置き去りに。最後は意気揚々と拳を挙げながらゴール。ワールドツアー開幕戦で、その実力をしっかりと見せつけた。
2021.3.6開催 ストラーデビアンケ(UCIワールドツアー)リザルト
1 マチュー・ファンデルプール(オランダ/アルペシン・フェニックス)4:40’29’’
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)+ 0’05”
3 エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ)+ 0’20”
4 ワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィズマ)+ 0’50”
5 トーマス・ピドコック(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)+ 0’54”
6 ミヒャエル・ゴグル(オーストリア/クベカ・アソス)+ 0’54”
7 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEエミレーツ)+ 0’54”