【2025宇都宮ジャパンカップ】クリテリウム:全てを制圧したリドル・トレック、ミランの勝利で圧巻のチーム6連覇

Photo: Makoto AYANO / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race

明日日曜日に開催されるロードレースの前哨戦の位置付けとして始まったクリテリウムも、2025年で14回目。年々レース強度が高まっており、世界的にもハイスピードレースとなってきた。前年まで5連覇のUCIワールドチーム「リドル・トレック」は、今年もこれまでステージ7勝をあげているワールドクラスのスプリンター、ジョナタン・ミラン(イタリア)が参戦。今年も本気で制覇を狙っている。

全ての芽をことごとく摘み取り、まさに「制圧」

とはいうものの、短いながらも1周2.25kmを15周回するコースプロファイルのなかでは、疲労を防ぐために途中まで逃げを容認してペースを落としたり、間隙をついて飛び出す選手が出るといった駆け引きは大抵起こるもの。最後はトレック勢が優勢という下馬評は揺るがないが、短い距離だからこそ、展開次第で他のチームが出し抜いて勝利を飾るというストーリーも十分予測できるものだ。

Photo: Makoto AYANO / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race
集団をコントロールするリドル・トレックがほぼすべての飛び出しにチェックを入れ「制圧」していく

しかし、その予測はあっさりと裏切られる。スタートダッシュでマウロ・シュミット(スイス/チーム・ジェイコ・アルウラー)、直後にクリスツ・ネイランズ(ラトビア/イスラエル・プレミアテック)、レニー・マルティネス(フランス/バーレーン・ヴィクトリアス)、ライリー・シーアン(アメリカ/イスラエル・プレミアテック)などが逃げを試みるが、いずれも程なく集団に潰されてしまう。象徴的なのはレニー・マルティネスとライリー・シーアンの飛び出しに対応したのが、大本命のジョナタン・ミランだったことだ。リドル・トレックは彼を始め、チーム全員が集団前方に陣取ってレースの主導権を握るに事足らず、「抵抗は許さない」とばかり、ほぼ全ての動きを封印していく。逃げを容認せずに必ず潰していくため、レースペースが序盤から異様なハイスピードのまま展開していった。

9周目にライリー・シーアンが再び飛び出すが‥

9周目、これまで何度も仕掛けてきたイスラエル・プレミアテックからライリー・シーアンが再び飛び出すが、トレックの威容を恐れたか、休みなくハイスピードの展開に持ち込まれ疲労がきたのか、誰も同調せずあえなく吸収。

Photo: Yuichiro HOSODA / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race

13周目に、圧倒的なトレックの支配から逃れようと新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が集団の先頭に出て動きを見せるが、これも押さえ込まれてしまう。

Photo: Makoto AYANO / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race

Photo : Yuichiro HOSODA / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race
Photo: Makoto AYANO / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race

最初から最後までほぼ完全にレースを支配したリドル・トレックは、目論見どおり集団前方に居続けてエースを完璧にアシスト。満を持して、ジョナタン・ミランが後ろからきっちりと最後の緩斜面を駆け抜け、完全勝利を挙げた。圧巻の6連覇である。

この勝利は、単にリドル・トレックが主導権を握って勝利した‥という表現ではあまりにも足りない凄まじいものだった。どんな展開になろうと「力づくで制圧し支配する」というものだったからだ。ほぼ全ての飛び出しに対応しスピードとパワーで押さえつけ、ハイペースのままさらにスプリントで勝利したため、全15周の平均速度が50.7km/hとなり、歴代最速レースとなるおまけもついた。

完璧な勝利に笑顔を見せるジョナタン・ミラン
Photo :Yuichiro HOSODA / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race
1位ジョナタン・ミラン(イタリア/リドル・トレック)、(左)2位のミカ・ヘミング(ドイツ/TUDORプロサイクリングチーム)、(右)3位のヴラット・ヴァン・メッヒュレン(ベルギー/バーレーン・ヴィクトリアス)Photo: Makoto AYANO / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race

レース後‥

バーレーン・ヴィクトリアス在籍時のチームメイトだった2人が、レース後語り合う場面もあった Photo : Yuichiro HOSODA / Utsunomiya Japan Cup Cycle Road Race
レース後のインタビュー待ちで並ぶ間に談笑する日本人選手(左:新城幸也、中央:留目夕陽/EFエデュケーション・イージーポスト、右:今季で引退する元日本王者 入部正太朗/シマノレーシング)

表彰式

表彰式はユーモアと温かみに溢れるものとなった。表彰式ではなぜかかなり神妙な表情だった3位のヴラット・ヴァン・メッヒュレン(ベルギー/バーレーン・ヴィクトリアス)が、シャンパンファイトになると突然はしゃいで観客の前まで行き、直接シャンパンを浴びせかけ歓声と笑いが起きた。多分狙ってたんでしょうねぇ。

その後はジョナタン・ミランが、勝利を祝福するファンとともに笑顔でフォトセッションに応じた。どちらも、ステージのすぐ近くまで観衆が座れるオリオンスクエアならではの一幕だ。

明日19日は、いよいよロードレースが宇都宮森林公園特設コースで行われる。サイクルジャパンもレースの模様、現地の雰囲気をできるだけお伝えする予定だ。

宇都宮ジャパンカップクリテリウム2025結果

1位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 0:39’58”
2位 ミカ・ヘミング(ドイツ、TUDORプロサイクリングチーム)
3位 ヴラット・ヴァン・メッヒュレン(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
5位 ルカ・ヴァン・ボーヴェン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
6位 ヴィト・ブラート(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
7位 岡篤志(日本、Astemo 宇都宮ブリッツェン)
8位 ニコラス・ゴイコヴィッチ(クロアチア、ポギチーム・グスト・リュブリャナ)
9位 コルビー・シモンズ(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 キャスパー・マティアシュ・コペツキー(チェコ、チーム ノボ ノルディスク)
サイクルジャパン:

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