新家工業、インドネシアの自転車リム生産拠点を解散 コロナ禍で業績低迷

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2020年5月18日、鋼管メーカーの新家工業がインドネシア子会社で自転車のリムを生産するパブリック・アラヤ・インドネシアを解散、清算すると発表した。20年3月期の連結経常利益が前期比34.5%減の14.6億円に落ち込んでおり、事業整理、資産売却の一環とみられる。

1973年以来の生産拠点を閉鎖 拠点整理で国内回帰か

新家工業は1903年に創業者が当時日本初の自転車用木製リムの開発に成功してから、一貫してリムの製造技術に強みを持つ加工メーカーとして事業展開してきた。現在の売上の90%以上は様々な製造・建設資材メーカー向けの鋼管加工だが、売上比率が下がり続けても、自転車関連の事業を整理することはせず競輪向けのリム、一般消費者向けの完成モデルなど生産を続けている。現在でも競輪選手向けのリム、ホイールなどを販売するほか、一般向けにも「ARAYA」「Raleigh」ブランドで多くのモデルを販売し、愛好者も多い。特にトラック選手やガールズケイリンの選手たちにディスクホイールを提供していることは有名で、先日トラック世界選手権を制覇した梶原悠未選手も試合で使用している。

しかし今年に入り、本業の鋼管生産事業が、鉄鋼業自体の生産需要冷え込みで急激に業績が悪化。5月15日に発表された20年3月期の連結経常利益が前期比34.5%減の14.6億円に落ち込んでおり、抜本的な構造改革を迫られる事態となった。今回のパブリック・アラヤ・インドネシア解散の発表はその一環とみられるが、1973年設立の、同社にとって海外展開の大きな象徴の1つであった生産拠点の解散は、特に日本の自転車界に大きな影響を与える可能性がある。なお同社は決算発表前より資産整理に動いており、すでに12日にはパブリック・アラヤ・インドネシアの資産を日本円6億6,400万円で売却したと発表、2021年3月期第1四半期連結決算に特別利益として計上するとしていた。

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