自転車交通違反に「青切符」導入が事実上決定 26年にも施行へ 警察庁有識者会議が中間報告
自転車の交通違反の取り締まりに「青切符」が導入され、軽微な違反を繰り返した場合反則金納入を課されることが事実上決まった。警察庁の有識者検討会が21日までに中間報告書をまとめた。来年1月の最終報告後、道路交通法改正に盛り込まれ法律化される見通し。施行は2026年となりそうだ。
欧米ではすでに同様の制度あり
移動手段としての自転車がコロナ禍もあって見直され、街中で自転車に乗る人が激増しているが、同時に自転車由来の交通事故も増えており問題となっている。警察庁によると、2022年は国内で自転車関連の交通事故が6万9985件発生しており、全交通事故に占める割合は23.3%でここ数年上昇傾向にある。現状、自転車に乗る人が交通法規に違反した場合、刑事手続き(刑事裁判)の対象となるいわゆる「赤切符」が使われることがあるが、原付などで適用される反則金制度は適用されないため、平衡を欠いているとの有識者の指摘もあった。また赤切符のみだと、違反者についてはいきなり処分が重くなることや、警察も刑事処分となることから捜査を行わなければならず、手続きの負担が重いなどの運用上の課題もあった。警察庁はこうした課題を解決するため8月に有識者検討会を立ち上げ、青切符の導入について諮問していた。今回まとめられたのは中間報告であり最終的な方針決定ではないが、会議でも導入について特に反対は見られず、来年1月の最終報告にも盛り込まれる予定だ。
「青切符」の対象は
中間報告によると、新たに創設される「青切符」の対象は、以下の通りになる見込み。
対象年齢:16歳以上
対象となる違反:
- 信号無視
- 一時不停止
- 右側通行など通行区分違反
- 自転車通行禁止エリアを走ること(高速道路などはもちろん、一般道でも左側以外は禁止となっている)
- 遮断機が下りている踏切に立ち入ること
- 例外的に歩道を通行できる場合でも徐行などをしないこと(徐行=時速6km以内)
- ブレーキが利かない自転車に乗ること(ブレーキのない自転車も当然含む)
- ながら運転(携帯電話を使いながら運転すること、傘を差したりイヤホンを付けたりしながら運転すること)
反則金の見込み:5000円〜1万2000円程度(法案成立後省令等にて定める予定)
警察庁としては、あくまで事故防止の観点から取締りを行う方針で、違反を発見してもいきなり青切符の交付はせず、まず交通法規を守るよう警告を行い、にもかかわらず複数回の違反がみられた場合に交付するとしている。「赤切符」については「飲酒/酒気帯び運転」や「ながら運転でさらに事故につながるような危険な運転」の場合に交付され、刑事罰の対象となる。
同庁は「青切符」導入について、来年1月の最終報告のあと道路交通法改正に盛り込み、来年の通常国会で法案成立を目指すとしている。成立後の関連政令の整備等を考えると、早ければ2026年にも自転車の交通違反に対する青切符交付が実現される見通しだ。