85歳のフランス人技師が、ありそうでなかった新しい視点のクランクを開発した。自転車のクランクは通常2つの軸が180℃水平に設置されているが、このクランクは上死点に軸が来た時だけ20℃前にズレて、入力の無駄を排除してくれるという、コロンブスの卵のような発想のパーツだ。特許も取得し、さまざまなBB規格にも対応するという。
機械式でさまざまなBB規格に対応
85歳のフランス人技師、ジャック・セルダン氏が長年の研究を経て開発したクランクセット「The Cerdan pedal」。最大の特徴はクランク軸が位置によって移動すること。動画をご覧いただければわかるが、12時の位置に来た時だけ20℃前方向へと傾き、そこを過ぎて3時から12時までは通常通り180℃の水平に戻る。回転運動の宿命として、12時の「上死点」、6時の「下死点」の位置では力を入れても回転力に変換されないデメリットがあるが、このクランクはそれを克服してくれるというわけだ。また、この2点は足の姿勢においても、最も窮屈な場所と最も伸長させなければならないポイントで負担も大きい。こうしてズレてくれれば、足も運びやすく体に優しい。このクランクのさらに優れたところは、この動作が電動ではなく機械式だということ。つまりクランクをそのままリプレースすればすぐ使えるということで、非常に取り入れやすくなっている。
「The Cerdan pedal」はクランクセットとしてすでにフランス国内で販売されており、対応するBB規格は68mm/73mmのオクタリンク、BSA / BSCとなっていて幅広いバイクにインストール可能だ。さらにアタッチメントでBB30、PF30のフレームにも取付可能になる。BB92、BB91、BB89、BB86用などは今後対応を予定しているという。日本での販売予定は未定のようだが、もし発売されれば、パフォーマンスを求めるサイクリストだけでなく一般向けでも注目されそうなアイテムになること必至だ。