先週開催された日本最大級のスポーツ自転車関連試乗会・展示会「CYCLE MODE TOKYO 2022」。先週レポートをお届けしたが、東京の展示会でしか見かけなかったもののなかから、未来を感じさせ、ワクワクさせてくれた展示を2つご紹介したい。
クラウドファンディング予定、フルカーボン折り畳み自転車「fill」
今回、「クラウドファンディング」を予定する(あるいは現在募集中)のプロダクトを特集するコーナーが設けられていたが、その中で完成車を披露していたのがこちら「fill」。2台目の試作車だそうだが、今年夏をめどに限定50台でクラウドファンディングを行う予定とのこと。特徴は3つで、完全フルカーボンフレーム、非常にコンパクトに折り畳める機能性、そしてカーデザイナー/インダストリアルデザイナーの由良拓也氏と共同開発したフレームデザインだ。高級感とデザインで人気の折りたたみ自転車といえば英国モールトンを思い浮かべるが、日本発の高級フォールディングバイクのイメージを獲得できるか、非常に楽しみだ。価格は未定。
電動アシスト自転車の近未来、を現実的に思わせた展示
「サイクルモードインターナショナル」時代から、東京開催の大規模な展示会には出展し、話題を集めるのが「東京サイクルデザイン専門学校」。毎回学生たちの技術力を感じさせる優れたフレームデザインが披露されるが、今回の展示テーマは「ワーキングバイク」。スポーツではなく働く現場で使えるものとして考えられた作品が集められた。その中でも目を引いたのは、電動アシスト自転車のコンセプトモデルたち。乗りやすさを前提としながらも、曲線と直線をできるだけシンプルに使ってデザインしたものが印象的だった。ここにご紹介したのは写真の3つだが、なるほどと思ったのはバッテリー配置の考え方。取り外しのことを考えてフレームインとせず、従来型の比較的大きなバッテリーを想定しつつも、違和感のない位置をフレームデザインの中で見つけ出している。フレームバッグが取り付けられているな、と感じる程度の自然さなのには感心した。現実に販売してもまったく問題のなさそうな出来栄えだ。
こちらの専門学校の卒業生たちの何人かは有名フレームビルダーや大手専門店などに実際に就職しているので、数年後、こうした自転車が本当に実用化されているかもしれない。そんなことを感じさせてくれる展示だった。