有力チームが次々とレース自粛を表明 新型コロナウイルス対応に揺れる自転車界
先日のUAEツアーにおける新型コロナウイルスの感染者発生など自転車界でも感染拡大の懸念が広がるなか、有力チームが次々と今後のレース参加自粛を表明する動きが出てきた。これまでに4つのUCIワールドチームが、少なくとも今週末から数週間のレースに不参加を表明している。
感染者拡大のイタリアでのレースを中心に、参加自粛の流れ強まる
当メディアでも報じた通り、先月下旬に開催されたUAEツアーでは参加チーム関係者計8人が感染していたことが明らかになっている(既報)。いま懸念されているのは、急速に感染者が増大しているイタリア国内でのレースだ。今週末はストラーデビアンケ(3月7日)、ティレーノ〜アドリアティコ(3月11日〜)、ミラノ〜サンレモ(3月21日)など伝統のクラシックレース開催が控えている。主催団体のRCS Sportsは国内の状況を見極め、現地時間3月5日も行われるミーティングで開催可否を協議するとしているが、これとは別に、有力チームが感染防止のため参加を自粛する動きが広がっている。
まずミッチェルトン・スコットは女子チームも含め、3月4日から22日までに開催される上記のレースを含めた数レースについて参加を自粛すると表明した。具体的にはストラーデビアンケ、パリ〜ニース、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモなど8レース。ユンボ・ヴィスマは当面の措置として、今週末行われるストラーデビアンケ、GPインドゥストリアを欠場する。なおEFプロサイクリングについては、既にイタリア国内の主要レース主催者RCS SportsとUCI(国際自転車競技連盟)に対し一連のレース欠場を伝えている。
ツール・ド・フランスの近年歴代チャンピオンを擁するトップチーム、チームイネオスも、公式サイトで3月22日までのレース参加自粛を発表した。ただこのチームに関しては自粛理由としてもう一つ大きな要素がある。主要レースにほぼ帯同しツール・ド・フランスを含め大きな功績を上げていたニコラ・ポルタル監督が、3月3日に急逝したため、喪に服する期間としての自粛でもあるという。
有力チームが自粛方針を発表したことで、他チームも追従する動きが出てくると想定され、欧州のレースシーンにも暗雲が漂ってきている。