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自転車界にも忍び寄る新型コロナウイルスの影 UAEツアーでは計8人が陽性

Photo:©︎RCS Sport

世界を覆いつつある新型コロナウイルスの影が、自転車界にも忍び寄ってきている。2月23日より開催されていた中東唯一のUCIワールドツアー「UAEツアー」が、チーム関係者2人の感染発覚により大会途中で終了となったが、新たな主催者発表によりさらに関係者6人の感染が発表された。

一部関係者は現在もアブダビに足止め 今後の大会にも影響必至か

中東では唯一の最高峰カテゴリ(UCIワールドツアー)のステージレースとして定着しつつある「UAEツアー」。今大会は大怪我からの復帰第一線となった一昨年のツール・ド・フランス王者クリス・フルーム(イギリス、チームイネオス)、久方ぶりのUCIレース参戦となったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)など注目選手も多く参加していたが、大会途中の2月28日に、参加チーム関係者2人が新型コロナウイルスに感染していることが判明。大会は中止され、さらに大会関係者は全員検査を受け、陰性が証明されるまで宿泊施設に足止めされた。検査結果はほぼ出揃い、選手中心に167人について陰性が発表されたが、一方でさらに6人の感染が判明した。

この6人について、UAE保健省はロシア人2名、イタリア人2名、ドイツ人1名、コロンビア人1名としており、最初に感染が発覚した2人の濃厚接触者だとしている。陰性となった大会関係者は日本人ライダー新城幸也も含めすでに開催地を離れているが、感染者と宿泊階が同じだったコフィディスとグルパマFDJ、ガスプロム・ルスヴェロの関係者は依然として隔離された状態が続き、陰性証明に向けて複数回の検査を受けているという。外出が許されずトレーニング環境が限られており、心身への影響が心配されている。なお同時期に開催されていたベルリンのトラック世界選手権について、UAEツアーからこの大会へ移動した出場選手関係者もいたが、陰性が判明している。

徐々に広がりつつある感染に、UCI大会関係者も懸念の声を示し始めている。現在佳境を迎えているのはベルギーを中心としたワンデーのクラシックレースだが、今月からはストラーデビアンケ(3月7日)、パリ〜ニース(3月8日〜15日)、ティレーノ〜アドリアティコ(3月11日〜17日)、ミラノ〜サンレモ(3月21日)など、伝統の名物レースが目白押しで、感染者が今月に入っても出てくる状況になれば、いくつかの大会中止も現実味を帯びてくる。また、大会自体が中止されなくても、チームの方で参加を辞退する動きが出てくる可能性もある。実際にEFプロサイクリングはいくつかのレースの出場辞退をUCI(国際自転車競技連盟)に伝えている。状況が悪化してくれば、同調するチームが出てくる可能性も否定できない。

いずれにしろ、自転車レースの本場は、今まさに感染が拡がりつつあるヨーロッパ。シーズン全体に影響が及ぶのか、関係者だけでなくファンも動向が気になるところだ。

国内レース開幕はこれから 事前イベントには影響

国内の影響だが、政府のイベント見直し要請は3月中旬までとされており、4月中旬に開幕する国内最高峰シリース「Jプロツアー」への波及はまだみられない。主催団体のJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)は「慎重に状況を見る」と方針を発表しており、各大会開催を中止する場合は3日前までに告知するとしている。なお、3月15日に予定されていたシリーズ開幕イベント「スターティングパーティ」については、プレス発表会のみとし規模を縮小して開催する。

 

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