自転車活用推進法の成立を始めとして、日本でも自転車を移動手段のひとつとして積極的に認め環境整備を図る動きが進んでいる。そのひとつとして全国で進められているのが自転車専用レーンの設定だが、最近とあるサイクリストがSNSにアップした動画が共感を呼んでいる。自転車レーンを走ろうとしても、路上駐車がひどくその脇を走らざるをえないことがあるというのだ。
「パーキングレーンになっちゃってる」
Twitterユーザーの「たけ」さん(@take0204)さんが2019年12月15日にアップした動画は、東京都心部の一角を通った様子を捉えたもの。30秒あまりの動画だが、その間に映ったものは積み降ろしのため一時的に停まっていると分かるトラックを含め、10台もの自動車が自転車専用レーン上に断続的に路上駐車している様子だった。最後の横断歩道直前の一帯以外、動画の中ではレーンの中をまったく走れない状態となっていた。この動画がアップされた直後から共感を得て拡散。いいね!は4.5万、リツィートは2.5万にも達している。コメントするユーザーも多数おり、「パーキングレーンになっちゃってるやないか」「銀座の運転は駐禁だらけ」「なんのために自転車レーン作ったんだろ?」と、共感するとともに問題意識を表明するコメントも多くみられた。
自転車レーンが設定されているかいないかは関係なく、基本的にパーキングレーンとして指定されている領域以外は、路肩に車を停めるのは一時停車以外違法である(標識で別に定める場合を除く)。もちろん「自転車専用レーン(自転車専用車両通行帯)」が設定されているエリアにも駐車してはならないのだが、実は事態はそう単純ではない。各自治体がそれぞれの標識で「自転車専用レーン」を掲示しているが、そのすべてが道路交通法が認める「自転車専用車両通行帯」ではない場合が多々あるからだ。したがって、全国各地で自転車専用レーンと自治体が定めたところに駐車すれば必ず違法、というわけではないのである。
今回拡散した動画に関しても、映っている標識を見ると「日曜休日は駐車してOK」というエリアになっている。撮影された曜日によるが、もし日曜休日だったなら違法ではないということになる。こう追ってみると、問題の本質は駐車しているからではなく、行政の自転車に対する対処、自動車に対する対処がバラバラなことが原因ではないか、ということが見えてくる。1つの道路に対する、こうした「ダブルスタンダード」とも捉えかねない行政の行動規範を改め、道路利用者に対し平等に対処していくことが問題解決に求められることではないか、ということが、今回のツィートに関するもっとも生産的な教訓ではないだろうか。