2020年5月29日、世界最高峰エベレストの標高8,848mと同じ獲得標高を目指す「エベレスティング」で、非公式ながら世界記録が誕生した。コロナ禍で難局にあえぐ地元の幼稚園を支援するため、エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ/ドイツ)が挑戦したもので、その模様は随時チームのTwitterで報告された。
走行距離162kmあまり、7時間28分の世界記録
欧州各国では厳しいロックダウンが解除され、徐々に社会活動が再開されているが、各方面に残した影響は甚大でドイツの教育現場も例外ではない。そんな状況を少しでも改善すべく、ドイツ人プロサイクリストであり、今年のツールで上位進出が期待されているブッフマンがチャリティを企画した。その内容はエベレストと同じ獲得標高8848mを目指す、通称「エベレスティング」と呼ばれるハードなチャレンジ。寄付や募金を中心とした活動を支援するクラウドファンディングサイトgofundmeで援助を募るため、ひと肌脱いだというわけだ。
チャレンジの舞台に選んだのは、2018年のロード世界選手権開催地であり、ボーラ・ハンスグローエのスポンサーでもあるオーストラリアのエッツタール地方。標高1661mの山頂めがけ登ること計9回(総獲得標高8,861m)、ひたすら上り下りを繰り返すというかなり厳しいライドに挑んだ。
ブッフマンはチームのサポートを得ながら順調に登坂をこなし、無事チャレンジを達成。走行時間は7時間29分25秒で、何らかの団体から認められている競技ではないので非公式だが、元選手のフィル・ガイモン氏(アメリカ)が持つ7時間52分を塗り替え世界記録を樹立した※。平均パワーは284W、合計運動量は6,869kcalというハードなチャレンジだった。
ブッフマンはチャレンジ達成後「今までやり遂げた中で最もハードなことのひとつ。終盤にあれほど苦しむとは思っていなかった。7,000mを超えたあたりから筋肉の痛みを感じ、最後は本当に苦しめられた」と振り返った。クラウドファンディングは続行中で、全額ドイツの幼稚園を支援するためドイツ児童基金に寄付される。
※実際の総獲得標高は8,861mで8,841mを上回っているためその分を勘案し、記録としては7時間28分としている。