今シーズンから「終身契約」で新興チームのイスラエル・スタートアップネイションに移籍したクリス・フルームが、新チームの公式チャンネルで移籍理由と今シーズンへの抱負を明らかにした。現在彼はチームに帯同せず、米西海岸のカリフォルニア州でシーズン開幕に向けたコンディション作りを行なっている。
「11年間同じ繰り返しの『コピー&ペースト』を変えたかった」
今シーズンのサイクルロードレースの大きな話題のひとつは、ツール・ド・フランスを4度制しているレジェンドのクリス・フルームが長年在籍した母国籍の「チームイネオス・グレナディアス」から離れ、引退までの終身契約という異例のかたちで新興チーム「イスラエル・スタートアップネイション」に移籍したこと。一昨年の大怪我から復帰したものの、昨シーズンはコロナ禍もあり満足にレースを走れず、出走したレースでも目立った成績は残せなかったフルーム。その中での環境刷新に大きな注目が寄せられている。
新チームが公開した動画で、フルームはまず移籍までの経緯を語った。「元チームメイトのキエール・カールストルム(現チームGM)から連絡をもらって、オーナーのシルヴァン・アダムスに会った。彼の熱心さはすぐに分かった。(だから)加入したいと強く思い、現役生活の最後まで、その先も見据えた契約にしたんだ」と語り、環境変化を求めていたことを明らかにした。さらに、「11年同じチームにいて毎年同じことを繰り返す、まるで『コピー&ペースト』のような気分だった。移籍することは大きな刺激とモチベーションアップに繋がると思う。全く新しいチーム、プロジェクト、そして新しいチャプターが僕に活力をもたらしてくれる」と移籍の意義を語った。
現在彼はチーム合宿には帯同せず、昨年末から米カリフォルニア州に逗留。基本的には一人で新シーズンのためのトレーニングをこなしている。その理由について、フルームはずっとバイクに乗っていられるこの地の温暖な気候と「レッドブル・ハイパフォーマンス・トレーニングセンター」にあると語る。このセンターで彼は、怪我に起因する身体不均衡と弱さを矯正するトレーニングに注力しているという。そのおかげで「とても楽観的な気持ちでシーズンを迎えられる」と語った。
引き続くコロナ禍ですでにいくつかのレースが中止になっているが、間もなく開幕する新シーズンについては「目標は変わらない。トップレベルに戻って、ツール・ド・フランスやグランツールで勝利を争いたいんだ。新シーズンを楽しみにしているし、きっとエキサイティングなものになると思う」と展望を示した。