4月から多くの自治体が自転車保険加入を義務化 しかし4割加入意向なし
2020年4月1日から、多くの自治体で自転車ユーザーに対する保険加入が義務化される。期限まで2週間を切ったいま、ある企業のアンケートで義務化されても加入する意思がない層が4割にも上ることが分かった。
4月から33都道府県で義務化、条例のない自治体はゼロに
2008年に神戸で発生した自転車に起因する事故の裁判で、加害者の男児の保護者に対し約9,500万円もの判決が命じられたことがきっかけで、各自治体が自転車保険に対する姿勢を強めてきている。事故があった兵庫県で2015年、いち早く義務化する条例が制定され、以後各自治体もそれぞれ「努力義務」「義務」を課す条例を制定してきた。そしてこの春、2020年4月1日から全ての都道府県で加入義務、または努力義務が課されることになっている。そんな中、「LINE」アプリ上で損害保険に加入できる保険サービス「LINEほけん」を展開するLINE Financeと損害保険ジャパン日本興亜が、4月から義務化される東京都の住民に、自転車保険などに関する意識調査を実施した。
東京都下では5割近くが「義務化されることを知らない」
調査ではまず、東京都で4月から保険加入が義務化されることを知っているか聞いたところ、「知らない」と答えた層が48.7%にも上った。また、義務化を知っている層に、個人賠償責任額の下限など義務化の内容を知っているか尋ねたところ、こちらも「知らない」と答えた層がが38.2%となった。義務化自体を知らず、知っていても内容は知らないという人が多く存在する実態が明らかになった。
4割が「義務化されても保険加入する気なし」
さらに自転車保険未加入者に、義務化を機に保険加入の意向を聞いたところ、「加入する」が58.8%、「加入しない」が41.2%という結果となった。つまり、4割が義務化されても加入意思がないことになる。また「加入しない」と回答した人に理由を聞いたところ、「月々の保険料が高いから」が27%、「義務だけど努力義務だから」が17.3%、「どの保険にしたらいいか分からないから」が16.9%という結果になった。回答の中に既に「努力義務だから」という、事実と違う内容が含まれているように、多くの人に自転車保険についての理解が広まっておらず、誤解も多いことがうかがえる。東京都が配布しているチラシでは、明確に「自転車賠償保険等に加入しなければなりません」と明記されている。
既に加入の保険でカバーされる場合も 自身の保険内容をチェックする必要
今回制定される自治体の条例には、従わない場合の罰則は定められていない。しかし自分が事故を起こした場合のリスクは、他の事故と同様に非常に大きく、賠償額が高くなる可能性も十分にある。保険に未加入のままでいることは、被害者だけでなく加害者となるかもしれない自分にも、経済的破綻をもたらすリスクを放置していることになる。
とはいっても今回制定される条例では、専用の保険加入を義務付けるものではない。実際に自動車保険や火災保険などの特約で、自転車等で事故を起こした場合の個人賠償責任を保障している場合も多い。また、自分の自転車に点検時に貼付される「TSマーク」があれば、車体に対して保険がかけられている。上記に紹介した東京都のチラシ裏面には、自分が加入している保険に自転車事故に関する保障が含まれているかチェックできるチャートがあるので、この機会にぜひ確認してほしい。