日本唯一の「UCIプロシリーズ」の格付けを得ているワンデーレース「ジャパンカップサイクルロードレース」が2023年10月15日、宇都宮市近郊で開催されるが、14日、恒例の前哨戦「ジャパンカップクリテリウム」が開催された。宇都宮市西口の目抜き通りを15周にわたって走り抜ける40分あまりの高速レースは、一昨年、昨年に続きエドワード・トゥーンス(ベルギー/リドル・トレック)が貫禄の3連覇を遂げた。
序盤、飛び出したのは初出場の元世界王者
秋らしい爽やかな晴れに恵まれたこの日の宇都宮市街。例年通り二荒山神社近くに設定されるスタート/フィニッシュ地点には、最高峰カテゴリのUCIワールドチーム7チームを含む豪華な布陣が敷かれた。その中でも注目のひとりは、今回初出場となる元世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス/スーダル・クイックステップ)。来日自体が初めてという彼が、高速クリテリウムにどう対応するのかも見ものだ。
スタート前は和やかに談笑していたライダー達だったが、スタート直後から、ワールドチームの選手たちを中心にかつてないハイスピードで周回が進む。その中で飛び出したのはアラフィリップ。3周目からハイスピードの中でもさらに突っ込んで大逃げを打ったかたちとなった。思わぬ大物の逃げを懸念し、ついていったのはパスカル・イーンクホールン(オランダ/ロット・ディスティニー)とアンドレア・ピッコロ(イタリア/EFエデュケーション・イージポスト)。この3人が中盤までパックを組んで逃げ続け、スプリント賞は4周目がアラフィリップ、8周目はイーンクホールンが奪取し分け合った。
欧州レースでも結果を出しているベテランを含む3人の逃げを容認するわけにはいかないと、メイン集団も序盤からのハイスピードを維持し続け追っていくが、中盤まで差は縮まらず、集団のペースが少し緩んだのを機に10周目を過ぎてから集団から数人が飛び出し、3人に掴まえようと小集団を形成。そこから小さなアタックが繰り返され、非常に目まぐるしい展開に。
その目まぐるしい展開の中でも、ハイスピードに対応できず日本勢が目立たない状態だったが、混戦の中迎えた最終周、飛び出したのは岡本隼(日本/愛三工業レーシングチーム)。大きな歓声が湧いたが、飛び出し直後にチームメイトがパックを形成し集団を抑えようとするもすぐにあえなく吸収され、大集団のまま最後のスプリントを迎えることになった。
最後のスプリントは、連覇の経験を生かしうまく位置取りしたエドワード・トゥーンスがしっかりとスピードに乗り、先日の欧州クラシックレース「パリ〜トゥール」で勝利を挙げたばかりの若手ライリー・シーハン(アメリカ/イスラエル・プレミアテック)、昨年このクリテリウム2位のアクセル・ザングル(フランス/コフィディス)を抑えて貫禄の勝利。自身クリテリウム3連覇、リドル・トレックとしては4連覇とこれまでにない偉業を成し遂げた。
ジャパンカップクリテリウム2023 RESULTS
総合結果
1位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー/リドル・トレック) | 40:59 |
2位 | ライリー・シーハン(アメリカ/イスラエル・プレミアテック) | |
3位 | アクセル・ザングル(フランス/コフィディス) | |
4位 | ハミッシュ・ビードル(ニュージーランド/チーム ノボ ノルディスク) | |
5位 | ニコロー・ブラッティ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス) | |
6位 | 岡篤志(JCL TEAM UKYO) | |
7位 | スタン・ファン・トリヒト(ベルギー/スーダル・クイックステップ) | |
8位 | ギオルギオス・バグラス(ギリシャ/マトリックスパワータグ) | |
9位 | ミラン・パウルス(ベルギー/ロット・デスティニー) | |
10位 | マキシム・ファン・ヒルス(ベルギー/ロット・デスティニー) |
スプリント賞
4周目 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス/スーダル・クイックステップ) |
8周目 | パスカル・イーンクホールン(オランダ/ロット・デスティニー) |
12周目 | ギヨーム・マルタン(フランス/コフィディス) |