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【ジャパンカップ2022】3年ぶりのトップライダーたちの激走ーロードレース詳報

10月16日、ジャパンカップの最後を飾る「ジャパンカップサイクルロードレース」が栃木県宇都宮市の宇都宮森林公園にて開催された。序盤からハイペースの厳しい脚の削り合いが続く中、自力に勝るニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・イージーポスト)が最後は独走に持ち込み優勝した。2に位はチームメイトのアンドレア・ピッコロが入り、ワンツー・フィニッシュを飾った。EFのふたりに続く3位はベンジャミン・ダイボール(チーム右京)で、ワールドツアーのライダーをおさえての快挙。日本人最高位は新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の11位。追加情報を加え、詳報する。

序盤

 

©JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE 2022

レースはスタート直後からいきなり激しく動く。1周目の古賀志林道、山頂への登り過程でトレック・セガフレードが早くも飛び出したのだ。ジュリオ・チッコーネ(イタリア)、ジュリアン・ベルナール(フランス)、ジャコポ・モスカ(イタリア)、アントワン・トールク(オランダ)が徒党を組んで一気に逃げに入った。優勝候補と目されている2人を含む逃げを容認するわけにはいかないと、ロット・スーダルからティム・ウェレンス(ベルギー)、EFエデュケーションファースト・イージーポストからジェームズ・ショー(イギリス)、アンドレア・ピッコロ(イタリア)らがすぐに反応し合流、10人の先頭集団が形成された。日本勢では武山晃輔(チーム右京)が入り、この動きでどのチームが主導的に優勝争いをしたいのかが明らかになった。

2周目終了時にはこの先頭集団とメイン集団の差は30秒。このままいったん落ち着くかと思われたが、逃げに入れなかった有力チーム、コフィディスが情勢を変えようとペースをあげ、先頭を追いにかかる。これでメイン集団が崩れ、コフィディスの動きについていった10余名が先頭へブリッジをかけることに成功した。さらに6周目には、この周の山岳賞狙いでペースを後方から30名近くがさらに合流し50名以上の大集団に。ここにおいてようやくレースが落ち着いた。

中盤

©JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE 2022

その後の数周回は、序盤からのハイペース続きでさすがに一息入れたいという皆の思惑が一致し、落ち着いたペースで推移する。集団コントロールはEFエデュケーション・イージーポストとトレック・セガフレードが前方にポジションを取っていくかたちとなった。その中心を担っていたのは岡篤志で、6周目の山岳賞を獲得した。

落ち着いた展開の中で、地元の観戦客望んでいたシーンが実現する。集団なかばにいた宇都宮ブリッツェンの増田成幸が、3回目の山岳賞が設定されていた9周目の古賀志林道の上りでスッと抜け出し、単独の先頭に。ひとりだけの先行ということで集団は黙認し、その後1周あまりは増田のパレード走行のような盛り上がりを見せた。既報通り今季限りで退団し、グランツールを目指す新チーム「JCL TEAM UKYO」への移籍が発表されている彼へ、観客は惜別と感謝の声援を送り、増田も随所で手を振り応えていた。ジャパンカップの歴史の1ページに残る名シーンとなるだろう。

終盤〜フィニッシュ

©JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE 2022

飛び出していた増田を再び吸収したメイン集団は、11周目から再び動き出す。序盤も動いたティム・ウェレンスが再度アタック。最後のサバイバルが始まりペースが上がって、集団がブレイクされていく。足の削り合いの中で、サイモン・ゲシュケ(フランス/コフィディス)ポーレスがいったん先行し、それを追ってトールク、チッコーネがペースを上げ、12周目の最後の山岳賞ポイントは4人で通過、その先頭のチッコーネが獲得した。

最終盤にはいった13周目後半、終始主導的にレースを動かしてきたポーレスが、敢然とさらなるスパート。他の選手はついていけずついに独走体制に。チームメイトのピッコロが後続のペースアップを牽制する動きを見せ、強力にアシストする。

最終週、14周目に入った時点で約12秒のリードを築いたポーレスは、最後までペースを落とすことなく力強く駆ける。リードを保ったまま、完勝の喜びを表現しながらしっかりと先頭でフィニッシュ。

その後ろでは表彰台争いが展開されていたが、ここでも強さを見せたのは同じチームのピッコロ。食い下がるベンジャミン・ダイボール(オーストラリア/チーム右京)を振り切り、勝利ポーズを見せられるリードをつけ、エースに引き続いてゴールした。まさに完璧ともいえるワンツーフィニッシュの完成だ。レース直後、フィニッシュラインの後ろで2人は喜びを爆発させた。

ゴール直後、スタッフらと喜びあうワンツーのふたり

選手コメント

優勝 ニールソン・ポーレス

「美しい公園の中にある最高のコースで、走っていて本当に楽しかった。序盤のトレックによるアタックは驚いたが、アンドレア(・ピッコロ)とジェームズ(・ショー)がチェックしてくれ、チームとしては問題はなかった。集団内で脚を溜めることができていた。昨日のクリテリウムで自信ができていて、少し早めに仕掛けることができた。(アタックした時は)もっともスプリント力があるアンドレアが最後まで残ってくれていたので、追いつかれても『保険がある』と思い攻められた」

(チームメイトの岡選手について)

「強さを見せてくれた。昨日のクリテリウムで3位とスプリント力を見せてくれただけでなく、今日は集団の先頭で牽引できる力も見せた。おかげで後ろで脚を溜められた。今日のレースに彼がいて本当に良かった」

2位 アンドレア・ピッコロ

「キツいレースだった。スタートからトレックがアタックしてフルガスだったよ。残り3周目にメカトラでバイク交換しなければならなかったが先頭集団に追いつけて、最後の登りでニールソン(・ポーレス)の飛び出しを見届けて、自分は集団内で次のチャンスを待った。チームとしては自分かニールソンで勝負する戦略だったので、ワンツーフィニッシュできてとても嬉しい」

3位 ベンジャミン・ダイボール

「ジャパンカップは僕たちチームにとって大切なレースだった。トップ5が目標だったので、表彰台に上がることができ本当に嬉しい」

11位(日本人最高順位)アジア人最優秀賞 新城幸也

「3年ぶりの開催で、僕自身すごく楽しみにしていたレース。チームとしてジャパンカップに戻ってくることができて、走ることができ本当に嬉しかった。序盤から厳しいレースになったが、チームとして上手く立ち回ることができていた。最後、ついていくことはできなかったが、ハーマン(・ペーンシュタイナー)が表彰台まであと一歩という成績を残してくれたので、いい一日だった」

最終成績(総合上位)

1 ニールソン・ポーレス(アメリカ/EFエデュケーション・イージーポスト)        3時間37分49秒
2 アンドレア・ピッコロ(イタリア/EFエデュケーション・イージーポスト) +12秒
3 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア/チーム右京) +13秒
4 ヘルマン・ペルンスタイナー(オーストリア/バーレーン・ヴィクトリアス) +14秒
5 マキシム・ファンヒルス(ベルギー/ロット・スーダル) +17秒
6 ギヨーム・マルタン(フランス/コフィディス) +18秒

11 新城幸也(日本/バーレーン・ヴィクトリアス)+1分33秒

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