ポガチャルがツールに続き「モニュメント」戴冠!小集団スプリントでアラフィリップら下す|リエージュ・バストーニュ・リエージュ2021

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©️A.S.O./Aurelien Vialatte

欧州サイクルロードレースシーン、春のクラシックを締めくくる「リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ」が25日開催された。格式高い「モニュメント」とされる5つのクラシックレースの中でも、獲得標高約4,300mとトップクラスの険しさを誇る同レースを制したのは、昨年衝撃的な大逆転でツール王者となったタデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)だった。

第1回は1892年から 伝統と格式を誇る「5大モニュメント」のひとつ

©️A.S.O.

 

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「リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ」は、3月から4月にかけ、主にベルギー、オランダ各地を舞台として行われる春のワンデーレースの最後を飾るレース。第1回開催は1892年で、ツール・ド・フランスよりも古い伝統を誇る。ワロンヌ地方東部の山岳を巡る249.5km(男子)の長さと、11もの山岳を含むアップダウンの激しさも、数あるクラシックレースの中でも指折りだ。随一の伝統とそのコースの厳しさから、クラシックレースの中でも格式高い「モニュメント」の名を冠する5大レースのひとつとされている(他の4つは「ミラノ〜サンレモ」「ロンド・ファン・フランデーレン」「パリ〜ルーベ」「イル・ロンバルディア」)。その覇者の栄誉を求め、今年も現世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)などトップライダーたちが参戦した。

前半は逃げを容認、後半は激しいサバイバルに

レースは下部カテゴリチームを中心とした7人の逃げを早々に容認し、前半行程を静かに過ごしていく。残り80kmを切ったあたりからメイン集団内での主導権争いが本格化するとともに、逃げ集団との差を詰めるためのペースアップが始まるが、最終盤にあるいくつかの連続する山岳ポイントを迎えるまで、世界王者アラフィリップを擁するドゥクーニンク・クイックステップが幾度かの選手の飛び出しをおさえるなど、しっかりとコントロールした。

勝負どころの山岳ポイントでメイン集団を揺さぶるイネオス・グレナディアーズ ©️A.S.O./Aurelien Vialatte

戦前からレースの勝負どころとされていたのは、残り約35kmから始まる「コート・ド・ラ・ルドゥット(全長2km/平均勾配8.5%/最大勾配13%)」から残り約13km地点の「コート・ド・ラ・ロシュ・オ・フォーコン(全長1.3km/平均勾配11%/最大勾配13.2%)」までの、短いながらも厳しい登りが断続的に出現する区間。その後は基本的には下りとなるので、ここまでに有利な位置で後続を引き離せれば逃げ切れる可能性が高い。この区間が近づくにつれて、メイン集団の主導権を握ったのはイネオス・グレナディアーズ。逃げ集団を追い詰める意味もあり激しくペースアップし、同時にメイン集団の数をどんどん減らしていく。

この激しいアタックで昨年のこのレースの覇者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィズマ)やアラフィリップ、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン/モビスター チーム)ら有力選手が一時遅れるがチームの助けで復帰。イネオスもこの日のエースに盛り立てたリチャル・カラパス(エクアドル)がその後「コート・ド・ラ・ロシュ・オ・フォーコン」手前で独走に持ち込むことに成功するが長続きせず、持ち直したアラフィリップらのメイン集団に結局吸収され、勝負の行方はこの集団15人の選手たちに委ねられた。

 カラパスを飲み込んだ小集団のなかから、さらに振い落しをかけるため飛び出したのはマイケル・ウッズ(カナダ/イスラエル・スタートアップネイション)。すぐに反応したのがポガチャル、アラフィリップ、バルベルデ、ダヴィド・ゴデュ(フランス/グルパマ・エフデジ)の4人で、ウッズと5人の小集団を形成し先頭交代しながら激しくペースアップ、乗り遅れたログリッチらをどんどん引き離し、この5人で優勝を争うことが確定した。

 残り1kmを切った時点で十分に後続との差をつけることに成功した5人は、少しでも有利にスプリントに持ち込むためお互い牽制。押し出されたかたちのバルベルデが残り200m付近で最初に仕掛けると、まず抜け出したのはアラフィリップだったが、さらに伸びたのがポガチャルだった。バイク半分ほどの差をつけてのフィニッシュでは雄叫びを上げ、激しく喜びを表現した。

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ポガチャル、休養後ツールへ 連覇へコンディション万全図る

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現世界王者を振り切るスプリント力をも見せ、モニュメント初制覇を果たしたツール・ド・フランス覇者。「最終局面はアラフィリップをチェックすることに集中した」と狙い通りの戦略だったことを明かし「ツールでもここでも勝てて、まさにサイクリストとしての夢を生きている感じだ。この後はいったん休養し、ツールへの準備を始める」と、再来月のツール出場、連覇を狙うことを明言した。なおワールドツアー参戦初年度の中根英登(EFエデュケーション・NIPPO)も出場したが、途中リタイアとなっている。

リエージュ・バストーニュ・リエージュ2021 最終成績

©️A.S.O./Aurelien Vialatte

1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)6:39’26”
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)
3 ダヴィド・ゴデュ(フランス/グルパマ・エフデジ)
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン/モビスター チーム)
5 マイケル・ウッズ(カナダ/イスラエル・スタートアップネイション)
6 マルク・ヒルシ(スイス/UAEチームエミレーツ)+0’07”
7 ティシュ・ベノート(ベルギー/チームDSM)
8 バウケ・モレマ(オランダ/トレック・セガフレード)
9 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ)+0’09”
10 マテイ・モホリッチ(スロベニア/バーレーン・ヴィクトリアス)
DNF 中根英登(日本/EFエデュケーション・NIPPO)

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