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組織委、東京五輪自転車ロードレースのコースを正式発表 ワールドクラスの難関コースに

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東京オリンピック組織委員会は、2018年8月9日、男女のロードレースのコース詳細と日程を発表した。男子、女子ともに府中市の武蔵野の森公園をスタートし、富士スピードウェイをゴールとする。

ほぼ既報通り、コースは調布〜道志みち〜山中湖畔〜富士山麓周回

サイクルジャパンでは、昨年の段階でコース詳細について報じている。相違点はあるものの、ほぼ本日発表されたコースと同一である。

(本編集部で得た情報をもとに作成したルートマップはこちら:前半)
(本編集部で得た情報をもとに作成したルートマップはこちら:後半)

※閲覧環境によっては、一部コースのルートが変更になる場合があるようです。PC環境でご覧いただけますと作成した通りのルートをご覧いただけます
正式発表された男子コース(組織委員会のプレスリリースより)
正式発表された女子コース(組織委員会のプレスリリースより)

男女とも、スタートは調布飛行場に隣接する「武蔵野の森公園」。詳細は不明だが、コースのかたちと実際の道路の様子を擦り合わせれば、スタート後、いったん人見街道を都心方向へ向かい、東八道路とぶつかったところで左折。小金井街道に入り府中の森公園の前を通過し、甲州街道とぶつかったところで右折。京王線府中駅前を通り過ぎ、府中街道へ入り南下するとみられる。会見では、大國魂神社の境内を走行することが示された。是政橋を通過するまでがパレード走行で、オフィシャルスタートは渡りきったところからになる。

その後、多摩地域のサイクリストのメッカとも言われる南多摩尾根幹線、連光寺坂といったアップダウンのあるルートを周り(多摩カントリークラブ、桜ヶ丘カントリークラブ、都立桜ヶ丘公園周辺と思われる)、尾根幹線の終着点から町田街道、津久井広域道路を経由したのち、青山交差点から道志みち(国道413号線)へ突入していく。この道中では徐々に登っていくアップダウンの中で、駆け引きとサバイバルが本格化しそうだ。道志みち最後の名所、最大斜度10%越えの山伏峠を乗り切った後は、山中湖北岸を反時計回りに半周。箱根裏道を登り籠坂峠を越え、国道469号を南下、そこから富士山スカイラインへ入り、富士山麓を登る。日本の象徴である富士山を常に眺めながら、500m近く下り、そこからスカイライン最高地点の1,451mを目指すという非常にハードな第一の難関が設定された。

コースはそこからもうひとつのヤマを迎える。最高地点から右折し、富士山スカイラインを山中湖方面へ進むと、いったん富士スピードウェイ方面を目指し北上。サーキットすぐそばの北西にある、明神峠・三国峠を目指していく。ここは平均斜度が10%を越え最大斜度は20%超、しかもそのレベルの斜度の坂が何度も続くという富士山エリア最大の難所だ。最高点(三国峠、1171m)を通過後は、前方に富士山を見ながら湖畔南側を走破、そして再び籠坂峠へ。目まぐるしくアップダウンが織り込まれたこの区間は、ここまでなんとか残ってきた選手たちをさらに容赦なくふるい落すことだろう。

2度目の籠坂峠を過ぎたあとは、1週目と同様に500mを一気に下りながら富士スピードウェイを目指す。それまでに断続的な激しい登りで、ここは急激なダウンヒルであることを考えれば、激しい争いは籠坂峠がピークで、ここからは抜け出したリーダーが差を広げようとスパートをかける展開が予想される。

獲得標高4,851m、レース距離234km(パレード走行区間10km除く)の世界的にも最高レベルに厳しいレースのフィナーレは、富士スピードウェイ。満員の観客と富士山の雄姿に祝福されながら、2020年のオリンピック王者が誕生する。

女子は1回目の籠坂峠の登りまでは男子と同一で、富士山麓には向かわずそのまま富士スピードウェイに向かうレース距離137km(パレード走行は男子と同じ)、獲得標高2,692mのコースとなる。スタート日時は、男子がオリンピック初日の7月25日11時、女子が翌日7月26日13時。

まさにワールドクラス!獲得標高はあのステージとほぼ同じ

男子コースの獲得標高4,851mは、ワンデーレースとしては世界的に見ても最高レベルの難易度だ。今年9月に行われるUCI世界選手権(会場:インスブルック)男子ロードレースエリートのコースとほぼ同等であり、ヨーロッパの5大ワンデーレースのうち山岳を含み特に厳しいとされる「リエージュ・バストーニュ・リエージュ」、「イル・ロンバルディア」の獲得標高も凌ぐ。

コースプロファイルを眺めると、このコースがグランツールのとあるステージと獲得標高がほぼ同じであることが分かった。つい先日終了したツール・ド・フランス2018の第19ステージである。

ツール・ド・フランス2018第19ステージコースプロファイル(photo:A.S.O.)

レース距離は200km強、獲得標高差は4,700m。設定されている山岳の標高が違うものの、序盤、中盤、終盤に厳しいヤマ場をもってきて中盤が最高点、最後は断続的に続く坂で選手をふるい落としていくという狙いもほぼ同じに見える。何よりこのコースは、1世紀以上にわたるツール・ド・フランスの輝かしい歴史を綴ってきたアスパン、トゥールマレー、オービスクといった名物峠を全て織り込んでおり、コース発表当初から伝統的なツール・ド・フランスの山岳ステージの凝縮だと高い評価を受けた。

ツール・ド・フランスの名物ステージとほぼ同じ獲得標高、名所を漏らさず詰め込み「夢のクラシック」を実現しようとした今回のコースは、まさにサイクルロードレースの本場、ヨーロッパの文化を日本に持ち込み日本に「レガシー」を残そうとする試みといえる。間違いなく、オリンピック後にこのコースを活かしたレースや、記念の後継レースの設定が検討されるだろう。

コース発表に際し、日本で初めてツール・ド・フランスを完走した別府史之選手(トレック・セガフレード)は「地元の神奈川県も走り、トレーニングコースでも使っているルートもあるので、とても思い入れもあります。明神・三国峠は最大勾配が 20%を超えるような、この辺りでも最も厳しい登り。世界的に見ても勾配もきつく、長い登りなので、厳しいコース設定になっていて、サバイバルな展開になると思います。また、都内から道志みち、山中湖を走り、富士山へのアプローチは、日本が誇る絶景だと思うので、美しい風景も合わせて、競技とともに、全世界の人に楽しんでもらえると思います」とコメントを寄せた。