有識者などで構成する「自転車ヘルメット委員会」が、約1万人を対象に自転車ヘルメットの着用率に関する全国規模の実態調査を実施した。それによると、全世代、全国平均のヘルメット着用率は11.2%で、努力義務のある13歳未満の着用率も63.1%にとどまっていることが分かった。
都道府県別、世代別の着用率データは初めて 全国1位は愛媛県
大手自転車販売専門チェーン「ワイズロード」の元経営者だった馬場誠氏をはじめ、元総務大臣の増田寛也氏、プロスキーヤーの三浦雄一郎氏、「ツーキニスト」としても知られる疋田智氏など有志の有識者で構成される「自転車ヘルメット委員会」が、ヘルメット着用率についての全国規模の調査を実施、先日報告書を発表した。調査対象は月に1回以上自転車に乗る1〜89歳までの男女9,971人。
まず全世代のヘルメット着用率について調べたところ、全国平均は11.2%となり、都道府県別でみると1位が愛媛県の29%、2位が長崎の26%、3位が鳥取の18%。最下位は北海道のわずか2%だった。
着用努力義務のある13歳未満の平均は63.1%
道路交通法63条の11により、保護者が着用させる努力義務のある13歳未満の着用率は63.1%。努力義務にとどまるとはいえ、この数値は高いとは言えない。そこでより詳細にこの理由を探ったところ、努力義務であることを知っている保護者は32%にとどまっていることが分かった。さらに調査の中で、子供がヘルメットを着用しておらず、かつ道交法上のルールを知らなかった保護者にこの事実を伝えると、そのうちの68%は子供に着用させたいと意識が変わった。
なお13歳未満の着用率が上の世代の平均値を大きく上回っているため分けて考えた場合、13~89歳の着用率は7.2%となって2桁を下回ってしまう。これらの中の世代間では13~19歳男性が最も高く(20.3%)、70代女性が最も低い(2.1%)。報告書では、13~19 歳の着用率が高いのは、中学校・高校の校則などで着用が定められていることも寄与していると指摘。また女性が男性より着用率が低い理由はヘアスタイルや服 装の乱れをより気にするからではないかとしている。
「ヘルメットなしのリスク」を理解している人はどれくらいいるか
調査ではさらに、ヘルメットをしない場合のリスクについての認識度合いと、知らない人がリスクを知った場合の意識変化についてもまとめた。自転車乗車中の死亡事故の半数以上で頭部損傷が死因であることを知っている人は36%で、ヘルメットが死亡・重傷事故となるリスクを減らすことを知っている人は71%だった。そしてヘルメット非着用で答えた人にこれらのリスクを伝えたところ、初めて知った人の20%ほどがヘルメット着用へと意識が変わったとしている。
これらの調査結果を受けて、報告書では「13歳未満は着用の努力義務があること」「死亡事故の大半の死因は頭部外傷であること」「死亡事故の大多数は高齢者」である事実をあらゆる機会を通じ周知することや、全年齢で努力義務を課すことなどを提言としてまとめている。この報告書は自転車活用推進研究会のWebサイト内に掲載されており、誰でも閲覧できる。