近年のツール・ド・フランス王者が軒並み所属するチームイネオスに、タイムトライアルの現役王者が加入する。2019年12月9日、UCIワールドツアーチームのチームイネオスは、来シーズンから世界選手権タイムトライアル王者であるローハン・デニス(オーストラリア)が加入すると発表した。
「加入するのが夢だった」
現在29歳のローハン・デニスは、これまでジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャすべてでステージ優勝を経験し、トラック団体追い抜きで2度の金メダルを獲得している折り紙つきのトップ選手だ。2019年はバーレーン・メリダでシーズンを迎えたが、ステージ優勝のチャンスがあると見られたツール・ド・フランス第12ステージを前に突然リタイアを表明、その後一切レースに出場せず様々な憶測が飛び交った。そんな中、今年の世界選手権タイムトライアルでは、バーレーン・メリダに機材を供給するメーカーとは違うモデルを契約の関係から企業・ブランド名を消した黒塗り状態で使い、見事連覇を果たす。その直後、チーム離脱を発表し無所属となった。
彼の移籍先について注目される中、ついに12月9日、チームイネオス(イギリス)が獲得を発表した。クリストファー・フルーム(イギリス)やゲラント・トーマス(イギリス)、エガン・ベルナル(コロンビア)らツール・ド・フランスの近年の歴代チャンピオンが所属する当代きってのトップチームに、現役のタイムトライアルチャンピオンも加わることになる。
発表にあたり、チームの公式ウェブサイトにはデニスのインタビューが掲載された。「プロ入りした時からずっと夢だった。結成当時からのファンで、このチームで走ることが目標になっていたので、ようやく夢を叶えることができて素晴らしい気分」と語っている。来シーズンの彼の初戦は、2015年に総合優勝を遂げたツアー・ダウンアンダーとなることも発表された。地元オーストラリアで開催されるUCIワールドツアーレースで、デニスのイネオスジャージ姿がお披露目となる。