2019年7月24日、ツール・ド・フランスは第17ステージが行われた。世界遺産の地から、アルプスの麓へと向かっていく200kmのコースは、総合争いが休息する中ステージレーサー以外の選手がせめぎ合う展開となり、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)が独走力を見せつけ今大会初勝利を挙げた。
世界遺産の地からアルプスへと向かう「山岳前哨戦」
アルプス山脈での3連戦前日のこの日は、ローマ時代の世界遺産「ポン・デュ・ガール」から発進する、ゆるやかな登坂ステージだ。海抜20m以下からまずは4級山岳へ、60km近くかけてゆっくりと登ったあとは少し降って、ほぼ同じ標高の3級山岳へ向かう。スプリンターでも十分に最後まで残れるが、ワンデーレースが得意な、またはパンチャー脚質の選手たちも勝利を狙えるプロファイル。これまで純粋なスプリント勝負で結果を残せなかった選手たちが、ここぞとばかり意欲を見せるだろう。
30人余りの逃げ、総合上位陣は沈黙
この日はスタートから10kmあまりで、33人もの選手が飛び出して逃げ集団を構成した。戦前の予想通り、その他のメイン集団の面々は、翌日以降のことを考え静観。最終的には10分以上の差がつくことになった。
逃げ集団の中でふるい落とし
そのままレースは静かに終盤を迎え、最後の3級山岳へ向かうところで動きが出た。残り30km付近で、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)らの積極的なペースアップで逃げ集団が前後に分裂。特にトレンティンはその中でも他の選手を引っ張り、引き剥がす勢いでさらに攻撃を続けた。
結局14km地点でさらなるペースアップで揺さぶり単独トップに立つと、30秒ほどのリードを築いてそのまま独走。持ち前の単独走行での力強さを見せつけ、今大会初勝利を挙げた。
なお後方のメイン集団は完全に休息とばかり、前方の優勝争いを静観。最終的にはトレンティンから20分以上遅れての集団ゴールとなった。したがって、各賞ジャージの変動はなく、秒差も変わらず。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がこの日もマイヨジョーヌを維持した。