【ツール・ド・フランス2019】第6ステージ、トゥーンスが逃げ残り勝利

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2019年7月11日、ツール・ド・フランス第6ステージが開催された。この日のステージは今大会初となる山頂フィニッシュを含む、7つもの峠が組み込まれた160.5km。

第1週半ばに設定された「準クイーンステージ」

今年のツールは例年の傾向と少し趣が違い、各週に山岳を連ねるステージが必ず入っているが、今週はその中でも特異だ。7月15日まで続く第1週の中で、終盤ではなく真ん中に置かれた、1級山岳を含む7つもの峠を越える準クイーンステージ。しかもきっちりと序盤、中盤、最後の山頂フィニッシュが1級山岳。最初の週だからといって容赦せずに徹底的に各チームのエースの力を試すぞ、という運営の意図が見えるプロファイルとなっている。最終決戦は最終週のアルプスなのは違いないが、コンディションのピークをそこだけに持っていくと、この日の遅れで致命傷になりかねない。

スタート直後に14人の逃げが決まる

この日のタフな道程を考えたのか、スタート直後に飛び出した14人の集団をメイン集団は躊躇なくすぐに容認。ここには山岳賞狙いで連日逃げに乗っているティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)のほか、ステージ優勝を狙うと観測されていたトーマス・デ・ヘント(ベルギー・ロット・ソウダル)、ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)、まだスプリントステージでいいところを見せられていないアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)まで加わり、逃げ切りを本気で狙える布陣になった。実際、この逃げ集団はメイン集団に対し最大8分近くの差をつけることに成功し、終盤の展開次第ではこの中からステージ優勝が見込める状態になってゆく。

14人もの逃げ集団のためさすがにレースが進むにつれ、次第にこぼれるように人数が減っていく。同時に、ボーナスポイントが付いた最後の2級山岳を過ぎた頃には、メイン集団との差が3分以下にまで縮まる。逃げ切りか、メイン集団から個人総合を目指すエース達が追い越すかは、最後の山頂フィニッシュに向かう登りでの動きに左右されることとなった。

山頂フィニッシュへ向かう登坂、最初に動いたのは

ここ数年、ツール前半の山場として定着した感のあるプランシュ・デ・ベル・フィーユ。この日のステージ最後に設定されたこの激坂は、今年距離を伸ばして最大勾配24%の区間が出現。例年よりステージレーサーの勝負どころがフィニッシュに近くなると同時に、秒差の付きやすいレイアウトとなっていた。

そのためか、メイン集団からペースアップの動きが出たのは残り6kmの時点。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)、ナイロ・キンタナ(コロンビア)、ミケル・ランダ(スペイン)のトリプルエース体制を採るモビスターが集団を引っ張り上げていくが、この時点で先頭とは4分近くあったため、逃げ集団からの逃げ切り勝利は確定した。

逃げ切り勝利の栄誉は…

メイン集団内でのエース達のさや当てが始まるころ、逃げ集団はフィニッシュへ。最後まで残っていたのはザンドロ・ミュリセ(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)、チッコーネ、ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)だったが、ともすれば蛇行しそうなほどの激坂で競り勝ったのは、トゥーンスだった。2位はチッコーネとなった。

メイン集団、最終盤の激坂でエースのコンディションが明確に

翻って、ステージ優勝が決まる直前からメイン集団でのエース達のアタック合戦が始まる。なんと最初に飛び出したのはマイヨジョーヌのジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)。不意の飛び出しに他選手は遅れをとるが、カウンターで猛追したのはこの選手だった。

単独でアラフィリップを追走しフィニッシュ直前で抜き去ったのは、総合優勝本命の呼び声高いゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)。そして同じく直前でアラフィリップを差してコンディションの良さを見せたのはティボー・ピノ(フランス、グルパマ・FDJ)。まずはこの2人が、総合優勝に向けていい状態であることを誇示した。

トーマスから遅れること20秒以内には、キンタナ(モビスター)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、ランダ、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)、エガン・ベルナル(コロンビア・チームイネオス)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、リゴベルト・ウラン(コロンビア・EFエデュケーションファースト)が続き、総合トップ争いにあまり影響しない位置でフィニッシュした。一方で、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ファビオ・アル(イタリア・UAEチーム・エミレーツ)はトーマスから1分以上遅れ、第1週で早くも不利な立場に立たされた。

チッコーネがマイヨジョーヌ獲得

総合トップのマイヨジョーヌは、この日2位で終えたチッコーネがわずか6秒差でアラフィリップを逆転、初めての栄誉に輝いた。なお、この日も緑のポイント賞ジャージ、マイヨヴェールを維持したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は実はトップからかなり遅れ、タイムアウト寸前でゴールに滑り込み、なんとかリタイヤを逃れている。

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