2019年6月23日、9日間に渡って行われるスイス国内最高峰のステージレース「ツール・ド・スイス」最終ステージが当地で行われ、厳しい山岳コースを3位でフィニッシュしたエガン・ベルナル(コロンビア、チーム・イオネス)がこれまでのリードを守りきり総合優勝を遂げた。
ベルナル、最終ステージでも果敢な攻め 3位でフィニッシュ
9日目の最終ステージは、保安上の理由から当初より距離が大幅に短縮され101.5kmとなったものの、超級山岳3つを織り込んだ非常に厳しい山岳コース。前日までわずかにリードを保っていたエガン・ベルナル(コロンビア、チーム・イオネス)は山岳が得意なだけに、この22歳の若いライダーがグランツールに次ぐとされるこのツアーを制するのか非常に注目された。
レースは当初の大方の予想を裏切り、スタート直後からヒュー・カーシー(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)が単独で飛び出し、そのまま独走を続けていく。最後の山岳まで、すべて一人で先頭を駆け、初のステージ優勝へひた走る。
猛追する総合首位と2位
ところが最後の山岳直前から、追走グループにいた総合トップのベルナルと2位のローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)が2人で突然の猛追開始。3分あまりだったカーシーとの差をぐんぐん縮めていく。突然ペースを上げた理由は不明だが、両者の差はわずか22秒だったため、どちらかのアタックをやり過ごすことはできなかったためとみられる。
2人は最後までペースを落とさず追走の手を緩めなかったが、さすがに追いつくことはできず、カーシーがそのままスタートから逃げ続ける出色のパフォーマンスで優勝を遂げた。
ベルナル、堂々のツアー制覇2勝目 ツールでの立場に注目
2位と3位には追走を続けていた2人がそのまま入り、ライバルに差を縮めさせなかったベルナルが、22歳の若さで昨年に続きUCIツアー2度目の総合優勝を獲得した。
チームスカイから今年5月1日をもって衣替えした新生チーム・イオネスは、初のステージツアー優勝となる。プロキャリア4年目のベルナルは昨年のツアー・オブ・カリフォルニアに続くUCIツアー2勝目。次戦はチームのエース、ゲラント・トーマスのアシストとしてツール・ド・フランスに出場すると見られるが、プロ入り以来驚異的なペースでメジャーレースの勝利を重ねてきた彼は、チームのエースであるフルーム、トーマスが直近のレースで相次いで落車リタイアし危機的状況ともいえるイオネスの救世主として、エース待遇でツールに向かうのではないかとも観測されている。今回の堂々たる戦績で、その噂も現実味を帯びてきたと言っても過言ではない。一気に世代交代が進み「下克上」が起こるのか、今年のツール・ド・フランスはますます目が離せなくなりそうだ。