Subscribe for notification

【ツール・ド・フランス2020】第20ステージ:ポガチャル、最終局面で歴史的逆転 21歳で戦後史上最年少戴冠決める

圧巻の走りで大逆転を遂げ、総合優勝を事実上決めたタデイ・ポガチャル(スロベニア/UATチームエミレーツ)©️A.S.O. Alex Broadway

第107回ツール・ド・フランスは19日、個人総合優勝争いの事実上最終日となる第20ステージを迎えた。注目された個人総合上位の対決は、この日まで57秒差で2位につけていたタデイ・ポガチャル(スロベニア/UAE・チームエミレーツ)が予想を上回る圧倒的な独走力を見せつけ、2分近くの差をつけ堂々の区間3勝目。その結果、最終日を前に個人総合トップに上り詰め総合優勝を事実上決めた。21歳での戴冠は昨年のベルナルの記録をも上回り戦後最年少。さらにこの日山岳賞ジャージも獲得し、マイヨジョーヌ、マイヨアポア(山岳賞)、マイヨブラン(新人賞)の3冠獲得という偉業の可能性をも残した。
(※外部サイトからご覧の場合、表示不具合の可能性がございますのでオリジナルサイトでご覧ください)

コースプロファイル:全ては最後の6kmの登坂区間、栄光へ駆け上がるのは誰?

©️A.S.O.
©️A.S.O.

例年通り、最終日前のこのステージが、事実上マイヨジョーヌを争う最後となる。今年は36.2kmの個人タイムトライアルが設定されたが、プロファイルを見て一目でわかる通り、鍵は最終局面約6kmの登坂区間。断続的に10%超えの急坂が続き、さらにラスト1kmを切ったところでさらに20%の激坂が現れるこの区間をどう攻略するかに、マイヨジョーヌの行方がかかっていると言っても過言ではない。ここまで隙を見せず盤石の強さを見せてきたプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)に、同国スロベニアの後輩タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)が激坂に挑み、どこまで肉薄できるか。この日の焦点は、ほぼこの一つだ。

最後の最後に訪れた歴史的ドラマ、誰も予想しなかった大逆転

個人タイムトライアルということで、発走順はそれまでの個人成績下位から上位へと設定される。先にスタートしたタデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)が素晴らしいぺースでタイムを刻み、前半の平坦区間が終わろうとするところで、彼から2分後にスタートしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィズマ)との差を30秒近くにまで縮めていた。ここからの登坂区間は、両選手ともクライマーなだけに、アシストもいない駆け引きなしの「ガチンコ勝負」となった。

終盤までのコースは平坦なため、2人ともタイムトライアル仕様のバイクで走っていたが、登坂のためポガチャルは登坂区間に入ってすぐにバイクを交換。また、ログリッチも5-600mほど登坂したエリアで同様にバイクを交換し、1秒でも速くするため走り続ける。

 

この地点での両者の差は30秒前後となっていたが、登坂が本格化するにつれ差がみるみるうちになくなり、残り3kmの時点でポガチャルが逆にログリッチを30秒近くリードして、快調にペースを刻む。一方のログリッチも決して遅いわけではなかったが、差は持ち直すことなく、どんどんと広がっていった。

同国人対決は下克上の結果に 若干21歳のツール初制覇が事実上決定

ログリッチも必死に追いすがろうとするが、ポガチャルの勢いは一向に衰えず差はさらに広がっていき、残り1kmあまりの地点で1分以上の大差に。連日、常に挑戦者の立場で攻撃し続け、下位から着実に順位を上げてきたポガチャルが、事実上の最終日でついにトップに上り詰めた。自身のゴール後、座り込んで呆然としていたログリッチも、同郷の後輩の栄誉を讃えた。

この日ポガチャルは、最終的にはログリッチに1分56秒もの差をつけ完全勝利。区間勝利3勝目は自身のツール初戴冠を決める歴史的な勝利となった。なお明日の時点でポガチャルは誕生から21歳と364日を迎えることとなっており、昨年エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ、今年はリタイヤ)が樹立した戦後史上最年少記録(22歳)をさらに塗り替えることになる。そして明日のパレードランとなる第21ステージは、自身21歳最後の日。これほど誇らしく、栄誉ある21歳最後の日はないだろう。さらにこの日、ポガチャルはマイヨアポア(山岳賞)、マイヨブラン(新人賞)も獲得、明日の結果次第では「戦後史上最年少の三冠王者誕生」という、ツール史上初の唯一無二の大記録を打ち立てる可能性を残している。

ツール・ド・フランス第20ステージ リュール〜ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ 結果

優勝 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAE・チームエミレーツ) 55分55秒
2 位  トム・デュムラン(オランダ/ユンボ・ヴィズマ) +1分21秒
3 位  リッチー・ポート(オーストラリア/トレック・セガフレード) +1分21秒

個人総合成績(マイヨジョーヌ)

1 位 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAE・チームエミレーツ) 84時間26分33秒
2 位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィスマ) +59秒
3 位 リッチー・ポート(オーストラリア/トレック・セガフレード) +3分30秒
4 位 ミケル・ランダ(スペイン/バーレーン・マクラーレン) +5分58秒
5 位 エンリク・マス(スペイン/モビスターチーム)+6分7秒
6 位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア/アスタナ プロチーム) +6分47秒
7 位 トム・デュムラン(オランダ/ユンボ・ヴィズマ)+1分21秒
8 位 リゴベルト・ウラン(コロンビア/EFプロサイクリング)+8分2秒
9 位 アダム・イェーツ(イギリス/ミッチェルトン・スコット) +9分25秒
10位   ダミアーノ・カルーソ(イタリア/バーレーン・マクラーレン) +14分3秒

ポイント賞成績(マイヨヴェール)

1 位 サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ) 319ポイント
2 位 ペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ) 264ポイント
3 位 マッテオ・トレンティン(イタリア/CCCチーム) 250ポイント

山岳賞成績(マイヨアポア)

1 位 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ) 82 ポイント
2 位 リチャル・カラパス(エクアドル/イネオス・グレナディアーズ)74ポイント
3 位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィスマ) 62ポイント

新人賞成績(マイヨブラン)

1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ) 84時間26分33秒
2位 エンリク・マス(スペイン/モビスターチーム)+6分7秒
3位 ヴァランタン・マデュアス(フランス) +1時間42分22秒

サイクルジャパン:

This website uses cookies.