【ツール・ド・フランス2020】第5ステージ:ファンアールト今大会初勝利! アラフィリップはペナルティでマイヨジョーヌ陥落

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©️A.S.O.-Pauline_Ballet

第107回ツール・ド・フランスは2日、第5ステージが行われた。逃げ集団が形成されず、集団一団となってスプリントになだれ込んだなかでしっかりと前に残り先着したのは、ワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ)。昨年の第10ステージ以来となる大会通算2勝目、今大会初勝利をあげた。この日はマイヨジョーヌとマイヨヴェールに変動があり、おおむね穏やかだった道程とは対照的な結果となった。

コースプロファイル:途中の強風エリアで仕掛けるチームはあるか?

©️A.S.O.

5日目は前日のゴール地から少し移動し、ギャップからスタート、西にある中央山塊のふもとプリヴァへ向かう183km。ゴールへ向かって全体的には緩やかに降るが、最後は10km以上に渡り徐々に登っていくとあって、ピュアスプリンターには厳しいプロファイルだ。いわゆるパンチャーやクラシックレーサーが強みを発揮できるだろう。もうひとつの注目は、道中、横風の強いエリアを長い距離走っていくこと。常に一定の方向とは限らず、横風エリアに入れば分断を狙ってどこかのチームが仕掛けてくるかもしれない。

逃げが生まれず、近年にないリラックスムードに

この日はアクチュアルスタート直後から飛び出そうとする選手がほとんど見られず、ゆっくりとしたペースで始まった。数km過ぎたあたりでカスパー・アスグリーン(デンマーク/ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタックするが、すぐにトーマス・デヘント(ベルギー/ロット・スーダル)がチェックして勢いを押さえ込み、逃げを容認しない姿勢を鮮明にした。この動きで、プロトンはそのままリラックスムードで距離をこなす「合意」が生まれたようだ。一団のまま「サイクリング」モードで進み、談笑する様子やおどける選手も出るなど、近年のツールではなかなか見られなかった和やかな雰囲気となった。

 

しかしポイント争いとなると雰囲気は一変し、序盤の47.5kmに設定されたスプリントポイント地点付近となるとマイヨヴェール争いが勃発。サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)が激しいスプリントを制して1位通過、20ポイントを獲得した。ライバルのペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ)は伸びず4位となり、この時点でベネットがバーチャルマイヨヴェールとなった。他方、山岳賞争いでは、現在マイヨアポアを着用するブノワ・コヌフロワ(フランス/AG2Rラモンディアル)の動きに誰も反応せず、落ち着いたペースで最終盤を迎えた。

強風区間も大勢に影響せず、そのまま迎えたゴール直前

ゴールまで残り10kmを切ったところで、イネオス・グレナディアーズがペースアップ。強風エリアに差しかかったこともあり集団の分断を試みるが奏功せず、大集団のままスプリントへ向かうこととなった。その後、ユンボ・ヴィスマ、チームサンウェブが隊列を組んで先頭を争うが、サンウェブが優位に立つ。ほぼ単独でトレインを組んで一度は完全にレースを掌握したかのように見えた。そして他チームが横に並ぶことすらない状態で完璧なリードを得たサンウェブのスプリンター、ケース・ボル(オランダ)が、満を待して飛び出す。そのまま勝利を遂げると思われたが、いつのまにかその横に単独で滑り込んできていたワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ)が、それすらも凌駕する爆発的なスプリントを見せ、直前でボルをかわし、わずかな差で先にゴールを駆け抜けた。

©️A.S.O.-Alex_Broadway

大会通算2勝目、今大会初勝利となるファンアールトは元シクロクロス世界王者であるばかりでなく、今シーズンはすでにストラーデ・ビアンケ、ミラノ〜サンレモと主要なワンデーレースですでに2勝している。どんなプロファイルのコースでも卓越した結果を残す彼は、ロードレースの常識を越える規格外の才能を示し続けている。また、チームとしても前日のログリッチに続く連勝となり、好調さをアピールする結果となった。

アラフィリップ痛恨のミス、禁止区間でボトルを受け取りペナルティ

©️A.S.O.-Alex_Broadway

他方、ゴール後に驚く発表があった。集団内でゴールしていたマイヨジョーヌのジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)が、ゴール前残り20kmを切ってからの補給禁止の規定に違反し、ボトルを受け取っていたことが発覚。総合タイム20秒加算と200スイスフランの罰金が課されてしまった。これでアラフィリップは個人総合16位に下がり、マイヨジョーヌは代わってアダム・イェーツ(英国/ミッチェルトン・スコット)が着用することになった。またマイヨヴェールは、この日サガンをおさえ20ポイントを獲得したベネットがマイヨヴェールを奪い取った。

9月3日の第6ステージは、終盤の40km弱がほぼずっと登り基調のプロファイルとなっており、その中間には登坂距離11.7km、平均勾配7.3%の1級リュゼット峠が含まれる。総合上位を目指すエース達の脚力が再び試される展開となりそうだ。

ツール・ド・フランス第5ステージ ギャップ〜プリヴァ 結果

優勝 ワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィズマ) 4時間7分47秒
2位  ケース・ボル(オランダ/チームサンウェブ)+0秒
3位  サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)+0秒

個人総合成績(マイヨジョーヌ)

1位 アダム・イェーツ(英国/ミッチェルトン・スコット) 22時間28分30秒
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィスマ) +3秒
3位 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ) +7秒
4位 ギヨーム・マルタン(フランス/コフィディス) +9秒
5位 エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ) +13秒
6位 トム・デュムラン(オランダ/ユンボ・ヴィスマ)+13秒
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア/アルケア・サムシック)+13秒
8位 エスデバン・チャベス(コロンビア/ミッチェルトン・スコット)+13秒
9位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア/アスタナ プロチーム)+13秒
10位 ロマン・バルデ(フランス/AG2Rラモンディアル)+13秒

ポイント賞成績(マイヨヴェール)

1位 サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)123ポイント
2位 ペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ)114ポイント
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー/UAEチームエミレーツ) 93ポイント

山岳賞成績(マイヨアポア)

1位 ブノワ・コヌフロア(フランス/AG2Rラ・モンディアル)23ポイント
2位 ミヒャエル・ゴグル(オーストリア/NTTプロサイクリング)12ポイント
3位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィズマ)10ポイント

新人賞成績(マイヨブラン)

1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)22時間28分37秒
2位 エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ)+6秒
3位 エンリク・マス(スペイン/モビスターチーム)+15秒

 

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