【ツール・ド・フランス2020】第7ステージ:ファンアールトが無類の強さで2勝目! サガンがマイヨヴェール返り咲き

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©️PresseSports-Bernard_Papon

第107回ツール・ド・フランスは4日、ミヨーからラヴォールへ向かう第7ステージ(168km)が開催された。途中の強風区間で多くの有力選手が集団から一時脱落するなど波乱の展開の中、最後まで生き残ったスプリンターの戦いを制したのはワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ)。第5ステージに続く今大会2勝目を挙げ、無類の才能の一端を示した。

コースプロファイル:アップダウンの激しさと横風が選手の脚をどこまで削るか?

©️A.S.O.

前日のゴール地点から少し移動し、ツールではすでに幾度も舞台となった「世界一高い」高架橋を擁するミヨーからのスタートとなる。全体としては中央山塊を西に抜け徐々に降るルートで、基本的には平坦のカテゴリだが、実際はアップダウンを繰り返す「脚にくる」プロファイルだ。さらにこの区域は風が強いことで知られ、横風が選手たちの推進力と体力をさらに奪う。この地形と気候を利用してライバルを追い落とそうとする仕掛けも想定され、かなり動きのあるステージとなるだろう。

いきなりボーラ・ハンスグローエが仕掛ける スプリンターが次々脱落

©️A.S.O.-Pauline_Ballet

スタート時から強風が吹き付けていたことを意識し、集団から効果的な逃げの動きはなく、選手たちは風に耐えようとする。しかしそれでも厳しく、現在マイヨヴェールのサム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)、セース・ボル(オランダ/チーム サンウェブ)、カレブ・ユアン(オーストラリア/ロット・スーダル)、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー/UAEチームエミレーツ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア/コフィディス)らが集団後方へ追いやられていく。

その動きを見たボーラ・ハンスグローエが集団前方に隊列を組んで陣取りどんどんペースを上げ、そのスプリンターたちを振り落そうといきなり仕掛ける。この動きによって、序盤で早くも集団は分断されていった。

チームの強力アシストでサガンがマイヨヴェールを奪還

ボーラ・ハンスグローエのこの動きは、もちろんエースであるペテル・サガン(スロベニア)のライバルたちの順位を落とさせ、有利に展開するための戦略だ。果たして迎えた中間スプリントポイントは、マッテオ・トレンティン(イタリア/CCCチーム)が1位、サガンが2位となってライバルたちを出しぬきポイント奪取。見事にマイヨヴェールを取り返した。

個人総合有力者たちも順位を失う

その後も強風は続き、有力選手が遅れる兆しを見せれば、ライバルチームが仕掛ける展開が続く。もっとも大きかったのはタデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)の遅れだ。個人総合3位に加え、マイヨブランを保持していた彼がメカトラブルで止まりバイク交換。後ろに下がっている間にメイン集団はペースを上げ、取り残されてしまった。相前後してミケル・ランダ(スペイン/バーレーン・マクラーレン)、リッチー・ポート(オーストラリア/トレック・セガフレード)もメイン集団から脱落し、千切れた第2集団から再合流を目指す展開に。

風の方向に合わせ斜めに集まり、スピードに乗ったメイン集団。理由はどうあれ遅れた個人総合のライバルを突き放そうと、利害の一致するイネオス・グレナディアーズやグルパマFDJ、ユンボ・ヴィスマ、アスタナプロチームらが協働し容赦なくペースを上げ続ける。第2集団はあえなく離れていき、残り18kmの地点で1分近く差をつけられ、3人は総合争いから後退する情勢になった。

アシストなしで一気に抜き去ったファンアールト、驚異の2勝目

©️PresseSports-Bernard_Papon

終始、強風が呼び込んだ激しい展開の末、最終的に先頭集団に残ったのは40人前後。比較的少人数となった中で、ゴールスプリントを有利にするための動きが活発化する。中心となったのはグルパマFDJとNTTプロサイクリングだったが、最終盤、1kmを切ったあたりで中央最前線の位置をとったのは後者。先頭集団に残っていたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)を押し出すべくアシストが強力に牽引する。

そのスピードを後ろでうまく利用していたジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー/トレック・セガフレード)、ブライアン・コカール(フランス/B&Bホテルズ-ヴィタルコンセプト)、クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)、ファンアールトが、ボアッソンハーゲンがスプリントを開始すると同時に中央、左右に分かれて一気に勝負に出る。その中でも強力に伸び切ったのがファンアールト。ピュアスプリンター達を差し置きアシストもいない中で、第5ステージに続いて圧巻の2勝目を挙げた。

レース後の記者会見では、この日は基本的にエースであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のアシストに専念していたと語り、勝利には「驚いている。今日はそんなつもりはなかった」と自身も狙っていなかったことを強調。しかし集団が40人ほどまで減っており「チャレンジしないのはもったいないとも思っていた」とも告白した。いずれにしろ、この日はチームは彼のために動いておらず、ほとんどアシストのないまま他のチームの隊列に隠れて最終盤までうまく立ち回り勝利を掴んでおり、改めて彼の勝負強さ、タフさが示されたレースとなった。

この日は各賞ジャージにも動きがあり、前半の動きでサガンがマイヨジョーヌを再奪取したほか、個人総合争いでもポガチャル、ランダ、ポート、さらにエステバン・チャベス(コロンビア/ミッチェルトン・スコット)、バウケ・モレマ(オランダ/トレック・セガフレード)らも結局先頭から1分21秒遅れでゴール。個人総合成績で後れをとることになった。

ツール・ド・フランス第7ステージ ミヨー〜ラヴォール 結果

優勝 ワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ) 3時間32分3秒
2位  エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー/NTTプロサイクリング) +0秒
3位  ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト) +0秒

個人総合成績(マイヨジョーヌ)

1位 アダム・イェーツ(英国/ミッチェルトン・スコット) 30時間36分0秒
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィスマ) +3秒
3位 ギヨーム・マルタン(フランス/コフィディス) +9秒
4位 エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ) +13秒
5位 トム・デュムラン(オランダ/ユンボ・ヴィスマ)+13秒
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア/アルケア・サムシック)+13秒
7位 ロマン・バルデ(フランス/AG2Rラモンディアル)+13秒
8位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア/アスタナ プロチーム)+13秒
9位 ティボー・ピノ(フランス/グルパマFDJ)+13秒
10位  リゴベルト・ウラン(コロンビア/EFプロサイクリング)+13秒

ポイント賞成績(マイヨヴェール)

1位 ペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ) 138ポイント
2位 サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ) 129ポイント
3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ) 106ポイント

山岳賞成績(マイヨアポア)

1位 ブノワ・コヌフロア(フランス/AG2Rラ・モンディアル)25ポイント
2位 ミヒャエル・ゴグル(オーストリア/NTTプロサイクリング)12ポイント
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド/チーム サンウェブ)11ポイント

新人賞成績(マイヨブラン)

1位 エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ) 30時間36分13秒
2位 エンリク・マス(スペイン/モビスター チーム) +9秒
3位 セルジオ・イギータ(コロンビア/EFプロサイクリング) +28秒

 

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