【ツール・ド・フランス2020】第8ステージ:フランス人ペテルスがピレネー初日を制す ピノ昨年に続き悲劇の後退

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©️A.S.O._Pauline_Ballet

第107回ツール・ド・フランスは5日、カゼール=シュル=ガロンヌからルダンヴィエルまでの141kmを競う第8ステージを開催。ピレネー山岳区間初日となったこの日、地元フランスのナンス・ペテルス(AG2Rラモンディアル)が独走で逃げ切り、自身ツール初出場初勝利の快挙を挙げた。総合優勝争いはライバル達の攻撃をしのいだアダム・イェーツ(英国/ミッチェルトン・スコット)がマイヨジョーヌを守った。

コースプロファイル:ピレネー初日にして大会初の超級山岳登場

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中央山塊を西へ突き抜けたプロトンは、このステージからはピレネー山脈へ突入する。タイムトライアルと最後の「顔見せ」であるシャンゼリゼの最終ステージ以外では今大会最短の141kmで争うが、そのプロファイルは濃密だ。序盤のスプリントポイントをこなした後、1級山岳コル・ド・モンテ(登坂距離6.9km、平均勾配8.1%)、その後いったん降ったのち、今大会最初の超級山岳ポルト・ド・バレ(11.7km、7.7%)、ツール名物のひとつ1級山岳ペイルスールド峠(9.7km、7.8%)へと立て続けに挑んでいく。さらにその後フィニッシュまでの11.5kmで、600m余りを一気にダウンヒルする。初の超級山岳に、最後のペイルスールド峠にはボーナスポイントが設定されているとあって、ステージ優勝のほかに総合上位勢の争いの勃発が期待できる。

13人の逃げ集団形成 プロトンは山岳に備え脚力温存、大差に

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レース序盤、飛び出した13選手で逃げ集団が形成される。この中の総合最上位はイルヌール・ザカリン(ロシア/CCCチーム)。マイヨジョーヌから16分以上も遅れているため、メイン集団は大人数であったがそのまま容認した。さらに、その後の山岳に向け脚力温存を優先させたことで差がみるみる広がり、90km地点を過ぎたところで最大14分台の差に。この時点で、ステージ優勝は逃げ集団の中から出ることが濃厚になった。最初の1級山岳前に設定された中間スプリントポイントは、ジェローム・クザン(フランス/トタル・ディレクトエネルジー)が全体の1位。メイン集団は14位争いとなり、サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ)が先着したが、マイヨヴェール争いにはあまり影響がなかった。

超級ポルト・ド・バレへ、いよいよ始まる戦い

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ステージ優勝へのサバイバルが始まる逃げ集団

最初の1級山岳のポイントは、マオヨアポアを着用するブノワ・コヌフロワ(フランス/AG2Rラモンディアル)がトップをで通過し2ポイントを獲得、この後の本格的な山岳で他の選手がボーナスポイントを獲得しても、この日のジャージを保持する可能性を残した。ここまでは逃げ集団、メイン集団それぞれあまり動きもなく進んだが、超級山岳ポルト・ド・バレへの登りに入るとそれぞれの場面で争いが本格化する。

逃げ集団でファーストアタックをかけたのはジェローム・クザン(フランス/トタル・ディレクトエネルジー)。一時は1分以上の差をつけることに成功したが、その後ザカリン、ペテルスらの元逃げ集団に再び追いつかれる。

そしてそのままこの2人がペースを上げ抜き去り、2人で山頂まで先行。ステージ優勝へ向け一騎打ちの様相となった。

メイン集団、第1ステージの影響色濃く 有力選手脱落、リタイア

その後ろのメイン集団でも、総合上位に向けたさや当て、争いが始まっていく。しかしその前に第1ステージの大量落車の影響がここでも暗い影を落とす。イタリア選手権、ヨーロッパ選手権を立て続けに制して波に乗っていたはずのジャコモ・ニッツォーロ(イタリア/NTTプロサイクリング)が、痛めていた肘の負傷が悪化したもようで登りに向かう前にリタイア。

さらに衝撃は、ティボー・ピノ(フランス/グルパマFDJ)のメイン集団からの脱落だった。初めての超級山岳、これまでのステージでも体力温存を優先し特に大きな動きを見せていなかったにも関わらず、ペースが上がらない。エースを引き上げようとアシスト陣がこぞって集団から下がり守ろうとするが、彼の動きには力がなくズルズルと下がり続け、ゴールではなんと先頭から25分23秒遅れ。完全に彼のツールは終わってしまった。レース後、遅れた原因は第1ステージで落車負傷した背中の痛みだと話し「ペダルに力を込めることすら困難だった。私にとってキャリアのターニングポイントになるのでは」と、昨年に続き怪我で実力を発揮できないまま脱落した「悲劇」に、落胆の色を隠さなかった。

ゴールに向け、激しくなる争い

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ペテルス、最後の下りで抜け出す

ステージ優勝争いはその直後に大勢が決した。ポルト・ド・バレからの下りでスパートするペテルスのスピードに、ザカリンが追いつけず差が広がっていく。その後ペテルスは一人でテンポよく最後のペイルスールド峠への登りもこなし、山頂通過時点で40秒以上のリードを築く。そして独走のまま、初出場のツールでいきなりのステージ優勝を成し遂げた。

メイン集団の争い、有力選手の多くが積極的に動く

ペテルスから9分近く後方にいたメイン集団では、ペイルスールド峠への道程から争いが激しくなってくる。仕掛けた中心は、やはりこれまで遅れていた選手たち。まずペナルティで順位を下げていたジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)が仕掛けるがすぐに吸収される。しかしこれが号砲となって、今度は前日メカトラブル絡みで遅れたタデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)が遅れを取り返そうと、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィズマ)、ナイロ・キンタナ(コロンビア/チーム アルケア・サムシック)のチェックにも動じず再三アタック。ついに1人抜け出し、最後の下りで差を広げることに成功する。

この動きを見て、同じく前日までに遅れていたリッチー・ポート(オーストラリア/トレック・セガフレード)、ミケル・ランダ(スペイン/バーレーン・マクラーレン)、ギヨーム・マルタン(フランス/コフィディス)が抜け出そうと次々とアタック。総合上位陣が激しく駆け引きする中、集団が破壊されていくかと見られたが、最後の下りに入ると、ダウンヒルが得意なログリッチがひととき抜け出したライバルたちに追いつき、チームとともに再びコントロールすることに成功。ポガチャル以外の動きを結果的に封じることに成功した。

そのポガチャルは、ゴール時点ではライバルたちから40秒先着。前日失った1分21秒ほどではないにせよ、半分近くを取り戻してトップから48秒差、個人総合9位にまで再び順位を上げて、表彰台以上をふたたび射程圏内にとらえている。

なおこの日の激しい駆け引きの号砲となったアラフィリップだが、その後メカトラブルに見舞われたこともあり18分07秒遅れでゴール。昨年と同じとはいかず、今年は完全に優勝争いから脱落した。

名物峠に例年通り多くの観客、しかしマスクなしの「密」状態

初めての超級山岳に最後はツールでおなじみの名物峠、非常に激しい駆け引きも行われたこのステージは非常に盛り上がるものとなったが、今後の運営に懸念も示した。主催者A.S.O.はこれまで無観客にはしないものの、駐車場の数を制限するなどして観客が来られない工夫をし、人数を制限する取り組みをしているとアピールしていたが、この日は徒歩で向かった人が多かったのか、ペイスルールド峠をはじめとした山岳区間には例年通り多くの観客が詰めかけていた。そして選手が通過するたび、これも例年通り選手に近づいて「Allez!Allez!」と熱狂的な声援を送っていた。

盛り上がるという点では歓迎すべきなのかもしれないが、しかし問題なのはマスクせずにこのような行為をする観客も多かったこと。レース後、複数の選手、チームから不安の声があがり、このモビスターチームのように観客に注意を呼びかけ、プロ選手で構成するプロサイクロスト協会(CPA)がマスク着用を呼びかける声明を発表するなど、今後の運営にも懸念が生じている。

ツール・ド・フランス第8ステージ カゼール=シュル=ガロンヌ〜ルダンヴィエル 結果

優勝 ナンス・ペテルス(フランス/AG2Rラモンディアル) 4時間2分12秒
2位 トムス・スクインシュ(ラトビア/トレック・セガフレード) +47秒
3位 カルロス・ベローナ(スペイン/モビスター チーム)+47秒

個人総合成績(マイヨジョーヌ)

1位 アダム・イェーツ(英国/ミッチェルトン・スコット) 34時間44分52秒
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ユンボ・ヴィスマ) +3秒
3位 ギヨーム・マルタン(フランス/コフィディス) +9秒
4位 ロマン・バルデ(フランス/AG2Rラモンディアル)+11秒
5位 エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ) +13秒
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア/アルケア・サムシック)+13秒
7位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア/アスタナ プロチーム)+13秒
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア/EFプロサイクリング)+13秒
9位 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ) +48秒
10位  エンリク・マス(スペイン/モビスター チーム) +1分0秒

ポイント賞成績(マイヨヴェール)

1位 ペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ) 138ポイント
2位 サム・ベネット(アイルランド/ドゥクーニンク・クイックステップ) 131ポイント
3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー/ユンボ・ヴィスマ) 106ポイント

山岳賞成績(マイヨアポア)

1位 ブノワ・コヌフロア(フランス/AG2Rラ・モンディアル)35ポイント
2位 ナンス・ペテルス(フランス/AG2Rラモンディアル)31ポイント
3位 イルヌール・ザカリン(ロシア/CCCチーム)25ポイント

新人賞成績(マイヨブラン)

1位 エガン・ベルナル(コロンビア/イネオス・グレナディアーズ) 34時間45分5秒
2位 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ) +35秒
3位 エンリク・マス(スペイン/モビスター チーム) +47秒

 

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Posted by ロバ