日本のサイクルロードレースにおいて15年以上トップカテゴリで戦い続ける第一人者、新城幸也選手が本日18時からスタートする男子ロードレースに4度目の出場を果たす。日本人選手としてだけでなく、海外選手を含めても大ベテランの域に達している彼は、今回のロードレースでも全出場選手中最年長となる。「最後のオリンピック」と意気込む彼の、キャリアの集大成に期待したい。
拠点のアンドラで調整後、選手村入り
新城選手のマネージメントを行なっている飯島美和氏によると、今回新城選手は拠点を置くアンドラでの調整を希望。日本代表スタッフ(マッサージャー・メカニック)がアンドラ入りし、サポートのもと約1週間の合宿を行いコンディショニング後、7月31日にパリに到着したという。
レースの展開次第でチャンスあり
本日のコースプロファイルは、平坦中心でありつつも長丁場の272km。さらに出場選手数が89人と、近年の開催と比べてもかなり少ない数となっている。ロードレースではチーム内のエースを勝たせるため、アシストの役割を担当する選手たちがペース作りやポジション取りの労を取りエースの疲労を極力避けようとするが、この距離で人数も少ないとなれば、序盤から激しい「足の削り合い」が起き、休むことが許されない厳しいサバイバルとなるだろう。とはいうものの、有力国は最大4人出場しており有利な立場であることは変わらない。
今回の有力国のなかでもっとも注目なのは、やはりベルギーだろう。先日終了したツール・ド・フランスで個人総合3位となったレムコ・エヴェネプールをはじめ、シクロクロスからロード、特に今回のコースのようなタフなワンデーレースが得意なワウト・ファンアールト、同じくワンデーレースやクラシックが得意ながら、スプリント力も高いヤスペル・ストゥイヴェンが居並ぶ。どんな展開でもレースをコントロールできそうな陣容だ。
次に注目なのはオランダ。上述したベルギーの猛者たちとシクロクロスやワンデークラシックで凌ぎを削り、ほぼ圧倒してきた現役レジェンドともいえるマチュー・ファン・デル・プールが満を待して登場する。ただし国としては彼を含め3人の出走でややアシストが物足りないため、レースの流れや他国選手との一時的な連携でどう力を残すかにかかっているだろう。
開催国フランスは最大4枠を確保し意気軒高だ。国民的人気を誇るジュリアン・アラフィリップで勝負を挑むと思われるが、欧州選手権ロード王者のクリストフ・ラポルトも有力。開催国だけにコースは相当走り込んでいるはずで、他国選手が見つけていない勝負ポイントで一気に飛び出す可能性もある。
新城選手はこうしたトップ選手たちと毎日のように争い、時にはレースの流れのなかで協働してきた経験を持つ。ただ一人の出場だが、出場選手中最年長ということで、他国選手の動き方など特徴もよく分かっているはずだ。そしてこうした平坦中心の長距離、少しアップダウンもあるようなコースプロファイルは彼の脚質にあっている。また出場選手が少ないということで、途中のいいタイミングで得意の逃げ、飛び出しができれば追っ手が届かない展開となる可能性もかなりある。長年、彼とトップカテゴリで日本人選手として戦ってきた元プロロードレーサー別府史之氏も、自身のSNSで「序盤からの逃げが有利、展開次第では新城選手にも大きなチャンスがある」とエールを送っている。
男子ロードレースは、日本でもTverでライブ放映予定だ。「最後のオリンピック」に臨む彼の勇姿を見届けよう!